
Lexusは2026年5月7日、新型BEV SUV「TZ」を世界初公開しました。すでに展開されている「RZ」に続く“Zシリーズ”の新たなモデルとなりますが、今回のTZは単なる電動SUVではありません。レクサス初となる3列シートBEVとして登場し、これまでのSUV像を少し変えてきました。
近年のレクサスは、「走り」だけではなく、“移動時間そのものの質”を高める方向へシフトしています。今回のTZもその延長線上にあり、開発コンセプトには「Driving Lounge」という言葉が掲げられました。つまり、ただ移動するための車ではなく、静かで快適な時間を味わうための空間というわけです。
エクステリアを見ると、まず目に入るのはロングホイールベースによる伸びやかなシルエットです。従来のSUVというより、どこかミニバン的な包容力も感じさせます。フロントマスクは、近年のレクサスが進めている“スピンドルボディ”思想をさらに進化させたもので、かつての巨大グリル中心のデザインから、ボディ全体で存在感を表現する方向へ変化していることがわかります。

インテリアはまさに“ラウンジ”。3列シートを採用しながらも圧迫感を抑え、静粛性と開放感を重視した設計となっています。さらに、21スピーカー仕様のMark Levinsonサウンドシステムを搭載。エンジン音が存在しないBEVだからこそ、車内に流れる音楽や空気感を徹底的に磨き込もうという思想が見えてきます。Sensory Conciergeは、かなりレクサスっぽいワードで、光や音、香り、空調を連動させる“空間演出システム”。
パワートレインには大容量バッテリーを採用し、前後モーターによるAWDシステムを搭載。さらに後輪操舵システムや統合制御技術も盛り込まれ、大柄な3列SUVでありながら自然なハンドリングを目指しています。また、V2Hにも対応し、家庭への給電機能も用意。レクサスはこのTZを“移動する蓄電池”としての役割も担う存在として位置づけています。
プレゼンテーションでは、「7000台分のスマートフォンのバッテリー容量に相当する」という表現も使われました。少し大げさにも聞こえますが、EVが単なる“エコカー”ではなく、インフラの一部になろうとしている現在を象徴する言葉かもしれません。
それにしても面白いのは、このTZがSUVなのに、どこかアルファード的な価値観を感じさせることです。速さや力強さだけではなく、「疲れない」「静か」「家族が快適」という部分に重心がある。かつて高級車が目指していた“偉さ”ではなく、“居心地”の方向へ進化しているように思えます。特にRear Comfortと呼ばれる機能は、「後席快適性優先モード」みたいなもので、乗り心地や加減速制御を後席寄りにするそうです。

四国産の竹まで使う。新型Lexus TZは“日本の高級車”を再定義しようとしている
Lexusの新型「TZ」で面白いのは、単なる3列シートBEVに留まっていないところです。静粛性やラウンジ性だけではなく、“日本らしい高級感”をどう表現するのかという部分に、かなり踏み込んできました。
その象徴ともいえるのが、「Forged bamboo」の採用です。これは四国産の竹材を用いた加飾で、近年レクサスが重視している“工芸感”や“日本的素材”を強く感じさせる部分。木でもアルミでもカーボンでもない、“竹”という選択が実に面白いところです。

最近の高級車は、ピアノブラックや巨大ディスプレイで未来感を演出する傾向がありますが、TZは少し違います。竹という自然素材を使うことで、どこか落ち着いた空気感を作ろうとしているのです。しかも、それがサステナブル素材としても成立している。ラグジュアリーと環境性能を両立しようという、いまのレクサスらしい考え方が見えてきます。
さらに装備面でも、“人を乗せる車”としての進化が目立ちます。可動式パノラマルーフを採用し、開放感を高めただけではなく、後席を含めた居心地にもかなり力を入れてきました。

また、最近の時代を象徴する装備として印象的なのが、車内置き去り通知システムです。TZでは60GHzレーダーを用いて車内を検知し、幼児などの置き去りリスクに対応。単なる警告音ではなく、レーダーによって微細な動きを感知する仕組みとなっており、高級車の価値観そのものが“速さ”や“豪華さ”から、“安心感”へ移ってきていることを感じさせます。
そして、地味ながら嬉しいのがハンズフリーパワーバックドア。両手が塞がった状態でも開閉できる機能ですが、3列SUVという性格を考えると、こうした日常性の積み重ねが実はかなり重要です。
新型TZは、スペックだけを見ると大型BEV SUVです。しかし細かく見ていくと、このクルマが本当に目指しているのは、“移動する和モダンラウンジ”なのかもしれません。竹を使い、静けさを磨き、家族を見守る。そんな価値観が、未来のレクサスには流れていました。
BEVというと、どうしてもスペック競争や航続距離ばかりが話題になります。しかしTZは、それよりも“空気感”を作ろうとしているクルマでした。静かな夜、高速道路を淡々と流しながら、好きな音楽だけが小さく響く。そんな時間を、レクサスは作りたかったのかもしれません。

Lexus TZ 主要スペック(公開情報ベース)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車名 | Lexus TZ |
| 発表日・発売予定日 | 2026年5月7日 2026年冬予定 |
| ボディタイプ | 3列シートBEV SUV 全長5100mm 全幅1990mm 全高1705mm |
| 駆動方式 | AWD(前後モーター) システム最高出力300kW(約408PS) |
| バッテリー | 大容量リチウムイオンバッテリー バッテリー容量95.82kWh 航続距離620km(日本仕様) 0-100km/h加速5.4秒 |
| 乗車定員 | 6〜7名想定 |
| 特徴 | 後輪操舵、統合制御、V2H対応 |
| オーディオ | Mark Levinson 21スピーカー |
| コンセプト | Driving Lounge |
| ポジション | RZの上位3列BEVモデル |

