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Honda GB350/GB350S ― 英国とインドで見えてくる「新世代レトロモダン」の評価

レトロと現代をつなぐバイク

ホンダGB350/GB350Sは、シンプルな空冷単気筒エンジンとレトロモダンなデザインを持ち味に、インドで誕生したモデルだ。
一見クラシックなスタイルながら、トラクションコントロールやアシストスリッパークラッチなど現代的な装備も兼ね備える。
「懐かしいのに新しい」――そんな矛盾を楽しませてくれるバイクである。

では、このバイクは世界でどう受け止められているのだろうか。イギリスとインドという、背景の異なる二つの市場に視点をあててみたい。


英国での評判 ― 「価格以上の質感」

イギリスのライダーたちにとってGB350Sは、手頃な価格で上質な仕上げを楽しめる一台として評価されている。
価格はおよそ£3,900(約75万円前後)。同じカテゴリーのRoyal EnfieldやYamaha XSRと比べても割安で、かつ細部の造り込みに「Hondaらしい誠実さ」を感じるという声が多い。

特に好評なのが、低回転域からの厚いトルク。3,000rpm前後でピークトルクを発揮し、市街地でも郊外のワインディングでも気持ちよく走れる。
英国のレビューサイトは「遅いバイクを速く乗る楽しさ」と表現しており、パワーの絶対値は控えめでも“エンジンのキャラクター”で魅了しているのが伝わってくる。

一方で指摘もある。フロントブレーキの効きが穏やかすぎることや、5速ギアが高すぎて回しきれないことなど、スポーティに走らせたいライダーには物足りなさも残すようだ。


インドでの評判 ― 「Royal Enfieldへの挑戦者」

GB350の誕生地インドでは、評価の文脈がやや異なる。
このクラスではRoyal Enfield Classic 350が絶対的王者。そこに挑むかたちで登場したのがGB350(現地名 H’ness CB350)だ。

インドのユーザーにとって大事なのは「ブランドの信頼性」「価格」「所有感」。
GB350はホンダの品質イメージを活かしながらも、クラシカルなスタイリングとトルクフルな単気筒でRoyal Enfieldに真っ向勝負を挑んでいる。

現地レビューでは、エンジンの洗練度やメカトラブルの少なさが高評価。一方で「ホンダらしい堅実さが、逆にインド的な“荒々しさ”や“味”を好む層には少し物足りない」という声もある。
つまりインドでは、GB350は王道を突き進む安心感のホンダ、Royal Enfieldは文化的アイコンとしてのエモーション、そんな棲み分けが生まれている。


共通する魅力と、それぞれの課題

イギリスとインド、文化も道路事情も異なる二つの国での評価を比べると、見えてくるのは意外な共通点だ。

  • 共通の魅力:低速トルクの心地よさ、レトロな外観と高品質な造り込み
  • 課題:絶対的なパワー不足とスポーツ性の物足りなさ

つまりGB350は、「速さ」や「尖ったキャラクター」ではなく、日常の中でのリラックスした移動を楽しむことを大切にしたバイクなのだ。


まとめ ― 世界が求める“スローで上質な時間”

イギリスでは「手頃で上質なレトロモダン」、インドでは「信頼性で王者に挑むホンダらしい単気筒」。
それぞれの文脈で評価されながらも、どちらの国でも共通して語られるのは、「このバイクは急がせない」という点だ。

渋滞を抜けるわけでもなく、トップスピードを競うわけでもない。
ただ街角で信号待ちをしながら、単気筒の鼓動を聞いて「いいな」と思える――そんなささやかな満足を提供するのがGB350/GB350S。

グローバル市場で異なる受け止められ方をしながらも、ライダーを“落ち着かせる力”で愛されている。
それが、このバイクが世界で静かに評価を高めている理由だろう。


こちらは世界のメディアでの Honda GB350 / GB350S(2025年モデル含む) の評判を集め、日本語でわかりやすく記事にまとめたものです。


Honda GB350/GB350S:世界のリアルな評価まとめ

1. レトロだけど魅力的な乗り味 ― Carole Nash(英国)

  • エンジン特性:348cc 空冷SOHC 単気筒エンジンは“キャラクター重視”。低回転からトルクがあり、ピークトルクは3,000rpmでかかるため街乗りに最適。ペダル感覚の楽しさがある一方、レブリミッターが非常に早く介入する点は慣れが必要。(Carole Nash Ireland)
  • デザイン:1970年代風のユニバーサル・ジャパニーズ・モーターサイクル(UJM)スタイル。細部の仕上げ(フォークブーツ、クローム、シートの質感など)にも「安くてかわいいだけじゃない丁寧さ」を感じるとのことです。(Carole Nash Ireland)

2. 通勤からツーリングまで頼れる ― BRM(ニュージーランド)

  • 特徴と装備:20hpの単気筒ながら、ABSやトラクションコントロール、アシスト/スリッパークラッチなど現代的機能もしっかり搭載。価格もライバルより控えめで、完成度の高さが光ります。(バイクライダー マガジン)
  • 走行フィール:超リラックスして乗れることが最大の美点。スポーティな要素は少ないですが、「快適で気分が上がるバイク」として好まれています。

3. レトロ好きにも本格派にも人気 ― MCN(英国)

  • 評価まとめ:全体評価で4/5、オーナー評価も4/5という高評価。21bhp仕様はA2ライセンス対応にも優しく、軽量かつ扱いやすい。(モーターサイクルニュース)
  • 走行性能:重いクランクとロングストロークのおかげか、中速域からの伸びが良く、安定したクルージングが可能。「遅いバイクを速く乗る楽しさ」が魅力。(モーターサイクルニュース)
  • ビルドクオリティ:価格以上の質感あり。細部の作り込みにHondaらしさを感じるというレビュー多数。(モーターサイクルニュース)

4. 安価でスタイリッシュ ― DancingThePolka(レビューまとめ)

  • 外観評価:派手さはないが、しっかり造られていて見た目の完成度が高い。ディテールに抜けがなく、「上品な格好良さ」を持つとの声。(Dancing the Polka)
  • 比較視点:Royal Enfield等との比較では走りで勝り、品質や信頼性でも一歩リード。(Dancing the Polka)

5. スーパーチルだけど堂々と ― Visordown(英国)

  • 総評:20bhpと控えめながら、「1マイルあたりの笑顔」が豊かなバイク。価格も約£3,949とリーズナブル。(Visordown)
  • 長所・難点:エンジンの個性や走りやすさには満足する一方、フロントブレーキの初期制動が弱めで、5速が高すぎるという指摘もありました。(Visordown)


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