IAAがはじまる前から、VWはPush Forwardという言葉を使って広告展開していたが、IAAでもこの言葉を主力にしているようだ。
ご覧の通り、未来のVWの姿を提案するこの動画に、VWらしさはまったくない。
ワーゲンもゴルフもポロも、質実剛健も何もない。
ディーゼル・ゲートによって旧い体勢から生まれ変わり、すべてを捨ててEVへと走り、コンセプトもすべて変えていくのだと思う。
未来人からすれば、ビートルもワーゲンもゴルフもティグアンもすべて古くさく見えるのだろう。
でも、そうやって生まれ変わり、新しい価値観で新しいファンを生むのが正解なんだと思う。
映像では、フロントガラスに映画を投影してたりして、EVならではのカーライフの提案をしている。
ただ、ほんとにこれで売れるのか? と思わせるコンセプトはいつもつまらない。
この「ID. LIFE」を仮にそのまま出したところで、多くの人が熱狂するとは思えない。
果たして、サステイナブル、ゼロエミッションの動きや未来や匂いは、クルマを好きにさせる要素なのか。
今、過激にサステイナブルを強要する人がいて、その人の前でガソリンを燃やすクルマが好きだとは言えない。
でも好きなのだ。
褒めれば批判される世の中になっている、もしくはなっていくが、「内燃機関が好きだ」という意見は間違いなくある。
それが消えていくのは皆あきらめているが、テイストを捨てたいわけじゃない。
内燃機関を含めたクルマの匂いというのは、熱狂させる一つの要素だ。
サステイナブルをデザインのセンスに取り込まれても、好きになれるのかどうか、疑問しかない。
VWはレガシーを捨てた。
忌まわしいディーゼルエンジンとセンスと匂いを捨てた。
あんなに堂々と売っていたのに。
そして、そのデザインやフィーリングまで忘れてくれという。
勝手だな。と思う。ロゴデザインではなく、社名を変えてしまえばよかったのに…。(VW愛から来る苦言です)