BMW Motorradが2026年10月15日、新型スーパースポーツ「F 450 RR」を正式発表しました(ただし、日本での発売日や価格はまだ未定)。他とデザイン面においてちょっと違う感じします。
ベースとなるF 450 GSは2025年に発表され、日本では2026年5月19日から注文受付が始まったアドベンチャーモデル。最近、400ccからちょっとはみ出たモデルが出始めてますが、これもそのひとつ。


今回のF 450 RRは、単にGSにカウルを取り付けたモデルではなく、F 450シリーズの独立したスーパースポーツとして開発したとのこと。
前後17インチホイール、専用の車体ジオメトリー、セパレートハンドル、フルカウル、ウイングレットなど、本格的なスーパースポーツの装備を採用。S 1000 RRを思わせるスタイリングも魅力です。
しかも、スペックがなかなかいいんです。
BMW F 450 RRの主要スペック
- エンジン:420cc 水冷並列2気筒
- 最高出力:48hp / 8,750rpm
- 最大トルク:43Nm / 6,750rpm
- 車両重量:177kg
- シート高:790mm
- 燃料タンク:14L
- WMTC燃費:3.8L/100km(約26.3km/L)
- 公称航続距離:350km以上
- トランスミッション:6速
- タイヤ:前110/70-17、後150/60-17
- フロントサスペンション:43mm KYB倒立フォーク
- フロントブレーキ:310mmシングルディスク、Brembo製4ピストンキャリパー
- メーター:6.5インチTFTディスプレイ
- グリップヒーター:標準装備
- ライディングモード:Rain / Road / Race(標準装備)
最高出力は48馬力。ヨーロッパのA2免許区分に合わせた35kWという出力ですが、車重はわずか177kg。
すごい。

なぜ135度? BMWが開発した異例のクランクシャフト
個人的に一番気になるのは、エンジンです。
135度クランクなんです。
一般的な並列2気筒エンジンでは、180度や270度、あるいは360度なのに、400GSでBMWが選んだのは、非常に珍しい135度という設定。
そもそも4ストロークエンジンでは、クランクシャフトが720度回転する間に各シリンダーが1回ずつ燃焼します。
360度クランクなら、360度ごとの等間隔燃焼。私の好きなX500ですね。270度クランクなら270度と450度、180度クランクなら180度と540度という不等間隔燃焼になります。
そしてBMWの135度クランクでは、225度と495度という独特の数値。
2回の燃焼が225度という比較的短い間隔で続き、そのあと次の燃焼まで495度の長い間隔が空くというリズム。
270度クランクよりも燃焼間隔の偏りが大きく、排気音にも独特の鼓動が生まれそうです。
数値だけを見れば、270度クランクよりもトラクションの感触が強調されそうな気配はありますが、実際にはエンジンのトルク特性や電子制御、タイヤなども大きく関係します。
ちなみに、過去にはホンダのXLV750Rが45度Vツインに位相クランクを組み合わせ、225度・495度という燃焼間隔を実現していたものの、こちらはV型2気筒エンジン。BMWのように並列2気筒で135度のクランクピンオフセットを採用する例は極めて珍しいですよね?
最近は完全新設計のエンジンが登場する機会も多くありませんが、135度という思い切ったことをやってくれました。

3,000rpmで最大トルクの80%を発揮
このエンジンには、もうひとつ注目したい特徴があります。
最高出力は48馬力を8,750rpmで、最大トルク43Nmを6,750rpmで発生しますが、BMWによると、わずか3,000rpmで最大トルクの80%を発揮するとのこと。
計算すると約34.4Nmです。
低回転から十分なトルクを発生するため、街中での扱いやすさはもちろん、ワインディングでのコーナー立ち上がりにも期待できそう。
しかも135度クランクによる独特の燃焼リズム。
低回転では鼓動を味わい、回転を上げれば48馬力を使い切れる。そんなエンジンに仕上がっていたら、かなり楽しい。

航続距離350km超。ツーリングにも使えるRR
そして、もうひとつ見逃せないのが航続距離。
燃料タンク容量は14L。WMTCモード燃費は3.8L/100kmなので、日本式に換算すると約26.3km/L。
14Lのタンク容量から計算した理論上の航続距離は約368kmなので、なかなかいいです。
シート高は790mmと比較的低く、グリップヒーターも標準装備。さらに6.5インチTFTディスプレイやUSB-Cポートまで備えています。
BMW版Eクラッチ? Easy Ride Clutchにも注目
さらに面白いのが、オプション設定される「Easy Ride Clutch(ERC)」です。
これは遠心クラッチ機構によって、エンジン回転数に応じてクラッチの断続を自動化する仕組み。
発進時や停止時にクラッチレバーを操作する必要がなく、Shift Assistant Proと組み合わせることで、通常走行ではクラッチレバーを使わずに変速できます。
ただしクラッチレバー自体は残されており、ライダーが必要に応じて操作することも可能です。
ホンダのE-Clutchを思わせるシステムですが、クラッチ操作を自動化する仕組みは異なります。
また、ERCは減速中もエンジンブレーキを維持し、停止直前のアイドリング回転数付近でクラッチを自動的に切る構造です。
なお、ERCが工場出荷時に装備されるのはM SportのInnovation Package仕様。他のグレードにも純正アクセサリーとして後付けできるとのこと。
ERC装着車の重量は標準仕様より1kg増えて178kgとなります。

排ガス規制や開発コストの問題もあって、完全新設計のエンジンが登場する機会は決して多くありません。そんななか、従来の常識にとらわれず、135度という異例のクランク角に挑戦したBMW。
個人的には48馬力という最高出力以上に、このエンジンがどんな音を奏で、どんな鼓動を伝えてくれるのかが気になります。
価格を予想すると99万8,000円(税込)あたりかな?
