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フィアット・トポリーノにVilebrequin(ヴィルブルカン)仕様。夏を車にしたら、たぶんこうなる

フィアットの小さな電動モビリティ「Topolino(トポリーノ)」に、またしても陽気すぎる特別仕様が登場した。

名前は「Fiat Topolino New Vilebrequin Collector’s Edition」。水着やビーチウェアで知られるフランスのブランド、Vilebrequin(ヴィルブルカン)とのコラボレーションモデルである。

実はこの組み合わせ、今回がまったくの初登場というわけではない。FIATとVilebrequinは2025年にも「Topolino Vilebrequin Collector’s Edition」を発表している。リヴィエラの空気をまとった、海辺のための特別なTopolino。白とマリンブルーの組み合わせ、Vilebrequinのタートルロゴ、ビーチへ向かうためのアクセサリー類など、すでにその時点でかなり完成された“夏の小さな乗り物”になっていた。

2025 Topolino Vilebrequin Collector’s Edition

では、今回の「New」は何が新しいのか。

大きいのは、Vilebrequinとのコラボレーションが第2弾として続いたこと。そして、Topolino側にも新しいボディスタイルが加わったことだ。2025年版が一度きりの洒落た限定車だったのに対して、今回はその好評を受けた続編であり、同時にTopolinoのラインナップを広げる役目も持っている。言ってみれば、去年の夏に浜辺で見つけた小さな玩具が、今年は少しだけ大人びた顔で戻ってきたようなものだ。

車というより、浜辺に置かれた小さな別荘。あるいは、ビーチバッグにタイヤをつけたような存在。そんな言い方をすると少し軽すぎるかもしれないが、このTopolinoに関しては、そのくらいがちょうどいい。

今回のポイントは、ただの色違いではないことだ。FIATによると、このモデルではTopolinoに新しいボディスタイルが導入されている。従来の開放感あるDolcevita的な雰囲気を残しながら、クローズドボディに開閉式ソフトトップを組み合わせた仕様になった。つまり、屋根と安心感はありつつ、空はちゃんと近い。

外装はホワイトとマリンブルーを基調にしたツートーン。ドアにはVilebrequinの象徴であるタートルロゴが入り、リアにはクローム仕上げのキャリアを装備する。内装もかなり楽しそうで、白いシートにはブルーのロゴとステッチ。ダッシュボードのDolcevita BoxにはVilebrequinらしい柄が入り、足元にはヨットの世界を思わせる専用マットが敷かれる。

こういう車は、スペックから入ると少し間違える。

Topolinoは、いわゆる普通のEVではない。欧州では軽量クアドリシクルに分類される、ごく小さな電動モビリティだ。高速道路を長距離移動するための車ではなく、街の細い道や海辺の道を、ゆっくり移動するための乗り物である。

最高速度はおよそ45km/h。航続距離も約75km前後という世界。日本の感覚で見ると「それで何に使うの?」となりがちだけれど、ヨーロッパの海沿いの街で見ると、話が変わってくる。家からビーチへ。市場からカフェへ。ホテルから港へ。そういう短い移動が、ただの移動ではなくなる。

おもしろいのは、Vilebrequinというブランド名そのものだ。フランス語で「クランクシャフト」を意味する言葉で、創業者がエンジン部品から着想を得た名前だという。ところが、今回の相手はエンジンを持たない小さなEV。クランクシャフトを必要としない車に、クランクシャフトという名のビーチブランドが乗る。こういう洒落は、かなり好きだ。

このTopolinoが見せているのは、単なる限定車ビジネスではないと思う。

近年のEVは、航続距離や充電速度、出力の話になりがちだ。それはもちろん大事だ。けれども、すべてのEVが「どこまで走れるか」で語られる必要はない。むしろ、Topolinoのような小さなEVは「どんな時間を作れるか」で語ったほうがいい。

Vilebrequin仕様のTopolinoは、まさにその方向を向いている。

速くない。広くない。実用一点張りでもない。けれど、これに乗って海辺を走る自分を想像するのは、とても簡単だ。そこに勝ち筋がある。車を所有する理由がだんだん薄くなっている時代に、これは「欲しいかも」と思わせる力を持っている。

もちろん、日本にそのまま入ってきても、使い方はかなり限られるだろう。道路環境も制度も違うし、軽自動車という非常に強いカテゴリーもある。日本でTopolinoをそのまま売るのは簡単ではなさそうだ。

価格は公式リリースでは明記されていないが、2025年版のVilebrequin Collector’s Editionは13,490ユーロと報じられていた。単純に現在の為替で換算すると、日本円で約250万円。45km/hの小さなEVとしては安くないが、これは移動手段というより、ほとんど“夏の小道具”に近い。

でも、この車が投げかけている問いはけっこう大きい。

小さな車は、もっと楽しくできるのではないか。
近距離の移動は、もっと気分のいいものにできるのではないか。
EVは、もっと肩の力を抜いて語っていいのではないか。

そんなことを、全長2.5mほどの小さなボディで言ってくる。

「Drive on the Sunny Side of Life」というコピーは、ちょっとできすぎている。でも、このTopolinoを見ると、それもまあ許したくなる。人生の明るい側を走る。大げさだけれど、45km/hくらいの速度なら、その言葉も案外悪くない。

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