ホンダの公式チャンネルに、突如アップされたV3エンジン搭載車と思われる動画。
どうやら、すでにグローバルで公開されたものと同じICEコンセプトバイクのティーザーのようですが、なぜ今このタイミングで? 新たな動きの予兆かもしれません。
今回は、2023年の「EICMA(ミラノショー)」で話題となったHonda ICE Concept Bike(内燃機関コンセプト)の中身、そしてその心臓部であるV3エンジンの特徴について、もう一度おさらいしてみましょう。
世界初!電動スーパーチャージャー搭載
まず注目すべきは、バイク用としては世界初となる「電動過給機(電動スーパーチャージャー)」の搭載です。
過給機といえば、一般的には排気ターボが主流ですが、これは電動のコンプレッサー。つまり、アクセルを開けた瞬間から空気を押し込める、まさに次世代型の加給システムです。
通常、自然吸気エンジンは高回転域でトルクが伸びる反面、低回転では力が薄くなりがち。
ところがこの電動スーパーチャージャーなら、低回転でも力強い加速を実現し、全回転域で厚いトルクを生み出すことができる。まさに、従来の“ナチュラルなパワーカーブ”を塗り替える存在といえるでしょう。
エンジン形式は「V3」――そのレイアウトが超ユニーク
そしてエンジン形式がまた大胆です。
なんとV型3気筒、シリンダーバンク角75度というかなりマニアックな構成。V3エンジンといえば、かつてのNSR500(2ストGPマシン)を思い出す方もいるかもしれませんが、今回のV3は4ストエンジンとしては非常に珍しい構成です。
エンジンの図面から見た推測では:
- バイクの前方に2気筒(両側)
- 後方に1気筒
という構成。
レイアウトとしてはハーレーやドゥカティのLツインに近く、モトグッツィの横置きV型ではありません。
なぜ75度? そしてV3の難しさと面白さ
「90度Vツイン」などに比べて、75度は振動の打ち消しにやや不利です。
しかしその分、エンジン全体をコンパクトに収められ、バランスの取り方次第で個性的なフィーリングが得られる可能性があります。
NSR時代のV3では、片バンクのクランクウェブを重くすることでバランスを取っていたとも言われており、今回のV3も、そうした絶妙なメカニカルチューニングがされている可能性大。
ミドルクラス?800cc? 中排気量の高回転型?
V3という構成から考えると、1気筒あたりの排気量は200〜266cc程度。
たとえば800ccなら、1気筒約266cc。これは400ccクラスの2気筒よりもレスポンスがよく、4気筒よりも軽量コンパクトで扱いやすい、いわば“ちょうどいい回り方をする”エンジンになります。
🚀 じゃあ、これからどうなる?
ホンダがなぜ今、V3のティーザーを再び流したのか?
EICMA以降の情報は少ないながら、今回の動画公開は市販化へのステップが動き出した合図と見る向きもあります。
- ミドルクラスの新機種?
- 新たなスポーツ・ネイキッドの登場?
- あるいは未来型スポーツバイクへの布石か?
答えはまだ明らかではありませんが、「電動×V3エンジン」という大胆な組み合わせに、ホンダの本気を感じざるを得ません。
まとめ
- ホンダが開発中のV3エンジンは、バイク用として世界初の電動スーパーチャージャーを搭載
- レイアウトは前2・後1のV型3気筒、バンク角75度
- 中排気量〜ミドルクラス向けの高性能コンパクトエンジンの可能性
- ティーザー再公開は、市販化への兆しか?
「直列でもなく、Vツインでもなく、V3」
ホンダが次に目指す“理想の鼓動”が、このV3にあるのかもしれません。
今後の続報にも要注目です。
