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アメリカンなナイトスターに5軸IMUが搭載されている理由

なんと、ハーレーのナイトスターRH975というアメリカンなスタイルのバイクには、多軸IMUなるものが搭載されています。現代のバイク業界において、IMU(慣性測定ユニット)は最先端機能の象徴。それがなぜか搭載されているのです。

5軸のIMUが登場したのは2014年。BOSCH社製のIMUがKTMに搭載され、今まで一辺倒だった電子介入が一気に繊細なものに変わりました。バイクの挙動を6方向(5軸でも6方向)から計算し、緻密な介入を行うことで、結果的に転倒を防ぎます。

このIMUが搭載される前のバイクは、真っ直ぐ走ってるか、傾いてるか、ぐらいの判断しかできないので、ブレーキの介入(ABS)やエンジンの制御(トラクションコントロール)はIMU搭載車から見ると非常に原始的。

そして、高価であり、レースなどの過酷な環境で力を発揮するため、ホンダではCBR1000RRに搭載され、最近では次のCBR600RRが5軸から6軸になるというのが話題になりました。

この分野で凄いのはヤマハ。なんと独自開発で6軸IMUを開発(村田製作所がセンサーを担当 2015年 当時のBOSCH製は5軸)し、ガシガシ搭載して他メーカーを凌いでます。他メーカーの多くはBOSCH製かコンチネンタル製を採用。

大型のツアラーにも普及して、ハーレーではついに6軸がパンアメリカに採用されました。

その流れでスポーツスターSにも採用され、最新機能てんこ盛りは伊達じゃなかったのです。

6軸はとにかくハイエンド機種専用という感じですが、なんとRH975ナイトスターにもIMUが搭載されているという噂。噂というのは、あまり情報が出回っていないのです。

よく調べてみると、前世代の5軸IMUを搭載しているようです。

ここらへんの最新機能を声高に主張しないのがハーレーですが、クラシックな外観のナイトスターに、一つ前の世代とはいえ、5軸IMUが搭載されているなんて、ちょっと違和感あります。

実は、IMUはアダプティブクルーズコントロールや、ヒルホールドコントロール(ブレーキ具合で感知するものもあり)などにも使われているのです。まあ、ナイトスターは普通のクルーズコントロールで、ヒルホールド機能はないので、将来的なアップデートも考えて採用されたという側面もあるかもしれません。が、とにかく、実際に非常に高度な電子制御がナイトスターに搭載されているということで、安全面が向上しているのです。

多軸IMUによってブレーキやトルクが制御されるので、アグレッシブに走っても、転倒などをなるべく防いでくれます。たとえばカーブを曲がりながらブレーキをある程度適当に入れても、バンク角などが安定して、外に膨らんだりしません。

大型バイクでは峠などで外に膨らむ事故が多いですが、ブレーキを入れることで外に膨らんでいる可能性もあるので、そこらへんも安心してブレーキを入れて速度を落とせるようになります。

なので、街乗りでも積極的にブレーキをかけながらアクセルもある程度開けて走ることができます。

スリップしそうな可能性をコンピュータで感知して減らし、トルクをなめらかな曲線に緻密に変えるIMUは、誰でもいい写真を撮れるようになったカメラの機能と同じ。スロットルを下手に回しても、しっとり安定させてくれます。

各メーカー、主な6軸IMU搭載車(2023年)

スズキ GSX-S1000GT、隼、Vストローム1050

ホンダ CRF1100Lアフリカツイン、CBR1000RR

ヤマハ MT-09、MT-10、XSR900、TRACER9 GT ABS、YZF-Rシリーズ他

カワサキ ニンジャH2、VERSYS 1000 SE

ドゥカティ Panigale V2、V4他

トライアンフ スピードトリプルシリーズ、タイガー1200

BMW、KTMももちろん搭載。トライアンフのボンネヴィルシリーズにはあまり搭載されてないようですが、BMWのR-nineTには最新型だと搭載されているようです(未確認)。

搭載されていないという面から考えると、Z900RSもCB1000RもKATANAもHAWK11も搭載していません。

6軸を搭載しているような上位機種になると、だいたいスロットルは電子制御(スロットルバイワイヤ)です。

そのおかげで、レインモードやロードモードを選べるようになっています。

スロットルをぶんと回しても回転数が控えめになるレインモードは、そのせいで雨の日のスリップを防ぎますが、同じように雨の日の演算をしてトルクコントロールします。なので、各モードの選択は結構大事です。

ウィリー防止や、スタート時のスリップなど、こちらはIMUが当然活躍するので、スロットルバイワイヤとIMUはセットで効果を発揮するようです。

ちなみにハーレーですが、他のモデルでは2020年以降、CVOなど車体の重いモデルを中心にIMUなしではなし得ない機能が多くついているので、なにかしらのIMUが搭載されていると思われますが、正式にIMUが搭載されているというアナウンスが見つかりません。

https://www.hd-city.com/message/post138414

まだまだスーパースポーツ、アドベンチャーツアラーのハイエンドモデルというイメージのある多軸IMUですが、それが少し下のモデルに降りてくると必ず話題になります。

なので、MT-09の搭載がまず凄い。そして、次のCBR600RR。もともと5軸を搭載していましたが、600ccでの6軸搭載も事件です。

また、ホンダのCB125RとCB250Rには何軸かわからないIMUが搭載されています。

アフリカツインはDCTという自動クラッチ機構においてIMUが活躍しているようです。

峠のコーナーにおけるふくらみ事故は、こういったIMUの搭載によって減る可能性があります。

「マニュアル動作を覚えていく過程でIMUは要らない」という意見もありますが、今後も増えていくのは間違いないです。




  
 

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