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F1ホンダ今季4勝 タイヤ戦略で思い出す2019ハンガリーGPと「1位を譲りたくない気持ち」

ついにレッドブル・ホンダが連続3勝。前2戦とは異なるスタイルのフランスGPで、メルセデスを下しマックス・フェルスタッペンが優勝した。

今回の勝ち方で思い出されるのは2019年ハンガリーGP。

レッドブルとホンダが組んだばかりで、自信がなかったころの戦いだ。

このハンガリーGPでは、マックス・フェルスタッペンが首位を走り、メルセデスのルイス・ハミルトンの二人が他を引き離していた。そのままタイヤ交換せずに走りきると思いきや、残り21週で突如ルイスが新品のミディアムタイヤに交換。残り3週で逆転した。

これと同じことを今シーズン序盤のバルセロナGPでもレッドブルはメルセデスにくらってしまった。

が、今回のフランスGPではその二つの苦い思い出を打ち消すようなリベンジ戦略を決行。

トップを走っていたマックスが中盤(32周目。ゴールは53週)に突如ミディアムタイヤに交換したのだ。

上位勢はすでに1度タイヤをハードタイヤに交換していて、最後まで走りきるつもりだった。

ピットインによってマックスは18秒を失ったにもかかわらず、猛追して2台のメルセデスをパス。残り2週で首位に立った。

この戦略をやられた場合、相手は「なすすべがない」状態となる。

それはなぜなのか。

タイヤ交換をせずに走りたいというのは、交換時間が大幅なタイムロスになるからだ。

なので、タイヤを労って順位を上げるために、下位チームがギャンブルでやる。

つまり、首位争いでどちらかがピットインをして2ストップ戦略をしたときに、ステイアウトしてコースに残るのは、首位をキープしたいという思いがあるからだ。

首位をキープしたいとうのは、「勝つか負けるかわからないのに、首位を明け渡してはいけない」という心理。

つまり、敗者の心理状態にある。

自信がないのだ。

今までメルセデスは、予選を通じて圧倒的な実力を示していたため、勝者の心理で戦略を立てていた。

それが、ホンダパワーユニットの改善をはじめとするレッドブルの進化によって、開幕戦にポールポジションを奪われ、最近では2連勝されたことで、メルセデスは自信を失った。

そのため、今回レッドブルがピットインをしたときに、「ステイアウトすればこのまま1位で追われるかもしれない」という弱い心理状況になってしまった。

実際、すぐにルイスがピットインしても2位のままの可能性は高く、同じタイヤの状態で抜ける可能性もあまりなかった。しかし、終盤にタイヤが摩耗して遅くなるのはわかっているので、あとは神頼み。

でも結局は、新しいタイヤの車に首位の座はとられてしまうのだ。

摩耗したタイヤで走る車は、いつだってなすすべがなくなる。

レッドブルとしては、路面の状況、風の状況も影響してくるから、必ずしも計算通りとはならないという面でギャンブルだった。しかし、過去の苦い経験から、2位のメルセデスが先にミディアムに替えるとまずい状況になる。

だから、首位の座をあけわたしてでもピットインするという勝者の心理で戦略を進めた。

もしすぐにルイスがピットインしてれば、チームメイトのボッタスとマックスが戦うことで、何かが起こったかもしれなかった。

マシンに自信があれば、メルセデスはもっと違う戦略を採っただろう。

マックスにとってはほぼ初めての勝ち方だったから、痛快だったろうし、自信も深めたはずだ。

この心理状況の逆転により、今後は両者が勝ったり負けたりの戦略競争になる。

ポーカーのようなだまし合いを成功させたほうが勝つということで、レースが面白くなるのは間違いない。

※ちなみに、1回目のピットストップは19周目で、2位のマックスが先に入り、トップのルイスがそのあとに続いた。しかし、ルイスが出てきたときにはマックスがその前にいた。(アンダーカット)

※2ストップ戦略を提案していたボッタスは、マックスに抜かれて怒り心頭。無線でピットに向かって怒鳴り散らしていた。

※マックスのチームメイトのセルジオ・ペレスは、他の上位勢より1回目のピットストップを遅らせ、24周目でピットイン。そのため、1ストップ戦略でもボッタスよりタイヤの状態が良く、終盤にパスできた。




  
 

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