メルセデスのヴィジョン・エーヴィーティーアール(VISION AVTR、アバター)のロードテスト映像が公開された。
未来の大型高級車のモデルとして登場し、4つのモーターで476hp、航続は最大700km以上になる。
4つのモーターにはそれぞれ個別にトルク配分が行われ、その制御によって高精度の駆動を実現する。また、横移動もできる。
映像ではまさにSF映画の未来映像のよう。映画『アバター』にインスパイアされているだけあり、どこか生命感さえ存在しているように感じる。チーフオフィサーのゴードンによると、このデザイン要素はエイリアンではなく、エコシステムの一部になるというテーマから来ているのだという。彼らは車ではなく、生きている有機体を作りたかったというのだ。
タイヤはまるで動物のパウ(掌部分)のようにソフトに。全体のデザインはバイオデザインとして自然に調和するように。素材は当然リサイクル系で。
起動すると生命体が目覚めるような光の動きがあり、センターコンソールは呼吸をしているように上下に動く。大きなモニタにはパンドラの森を走っているような映像。
「メルセデスはただの車メーカーではなく、ラグジュリーを追究するメーカーだ。だから今回は他の分野からも参加してもらって、違うレベルへと上げることができた」
という。
面白いのは、走り出してもステアリングがない。ずっとセンターコンソールを触っている。これによって前移動も横移動もするのだ。
コックピットにはステアリングもアクセルもボタンもスクリーンもない。
生きているようなセンターの「Merge Control」があるだけだ。
また、掌を見ると、そこにアイコンが照射される。
横に動かすといくつかのアイコンが見えてくる。
掌を閉じるとボタンを押したことになる。
という感じで、従来の車とはまったく違うラグジュリー空間の創造がここで行われている。「箱の中で何ができるか?」という問いを常にしていて、コロナ以後の社会はそれを求めているのかもしれない。
デザイナーのアレックス・ダンによると、コンペティションだったため映画『アバター』を観て、その要素を取り入れようとしたという。その世界を具現化しつつ、メルセデスであることも主張した。
背面にある33のフラップは、エアロダイナミクスの機能を持つ。
同時に、コミュニケーション、表現の機能も持つのだ。
人工知能として感情の表現も行うという。
有機生命体としてのラグジュリーな箱。それがVISION AVTRだ。
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