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マイケル・マンリーはフィアットに愛があるのか?

LAオートショウで公開された2020ジープ・グラディエイター。

ラングラーのさらに後ろにオープンな荷台がくっついたような形をした長く巨大なグラディエイターはもちろん日本では発売されることはないだろう。だがしかし広大なアメリカの郊外では全然かまわない。むしろ使いやすい。

形としてはピックアップトラックで、日本勢ライバルだとトヨタ・タコマとなる。

これでもコンパクトサイズ・ピックアップトラック。

農作業に使う…となるとそれはそれだが、後ろにバイクや川遊びの道具を乗せて、オープンにすると「最高に人生楽しんでる」車アピールとなる。

パワーユニットは3.6リッターV6ガソリン、燃費は今後の発表。

2019年の第二四半期に発売予定で価格は未公表。ジープとしては26年振りの新型ピックアップらしい。

フィアットはジープを買収したが、その後ジープはマイケル・マンリーの手によって大きく成長。2009年には40万台だった世界販売台数を140万台にしたのだから凄い(そのひずみもあったと思う)。

彼は現在54歳で、マルキオンネの後継車としてFCAグループを率いることになった。

フィアットはジープの成長に支えられ、リーダーがそのままフィアットのリーダーとなったのだ。

だが、マイケル・マンリーはイギリス人でアメリカ人ではない。

セルジオ・マルキオンネは名前のとおりイタリア人。負債を抱えたフィアットを立て直すため、経営破綻したクライスラーを統合し、再建したのが彼だ。

フィアット自体は小さく赤字体質なのは今も変わりなく、統合して規模を大きくすることで生き残り戦争を仕掛けた。

クライスラーの統合に成功し、マイケル・マンリーによるジープ再建によってフィアットも再建したのだ。

 

マルキオンネはイタリア人だが、カナダで教育を受け、会計士や弁護士の資格を持ち、グローバルに活躍してきた人物。

イタリアとアメリカが結ばれたFCAグループは、トップもすでにいろいろな意味でグローバルなのだ。

日産が完全子会社化されることを恐れる日本国民だが、イギリス人もアメリカ人もイタリア人も、もしくはスウェーデン人も、「何を恐れているのか」と思っているかもしれない。

 

マイケル・マンリーは何をする?

ジープとラムの面倒を見ていたマイケル・マンリーは2009年にジープとトップとなり、ラムのピックアップも成功させた。

2018年には190万という目標を掲げているが、昨年は10万台落ち込んだので厳しいのかもしれない。ヨーロッパではまったく売れていない。

ジープ自体は売れないのだ。SUV人気で売れるのは街乗りSUV。ジープというブランドはいいから、レネゲードは売れた。コンパスもチェロキーも欧州で売れなくてはならない。

ただし、電気系統のトラブルや乗り心地などの性能が欧州勢に追いついていないのは誰もが知るところで、頼みはブランド力のみ。

フィアットにはパンダ4×4(イタリアではパンダは大人気 10月の新車販売も1位で1万2379台)があるが、これのジープ版も企画されているらしい。

叶うことならば、ジープはヨーロッパなんて見なくていい。

アメリカには、つまり大陸には大陸なりの乗り方があり、乗り心地だけじゃないワイルドさがある。

ジープはそれでいいと思う。他のメーカーのように高級化を目指すのはもうやめてもらいたい。

 

マルキオンネのころに、フィアットの北米と中国での販売中止、撤退が決まり、ジープに注力することが決まった。

フィアットとトヨタのようなグローバル大衆車分野で戦うことはしないと決めたらしい。

それも、イタリアに愛のあるマルキオンネの決断だから納得したこと。もしトップがマイケルだったら、誰も納得しなかっただろう。

 

フィアットの将来が不安だ。