ルノーが韓国で新型クロスオーバー「Filante(フィランテ)」を公開しました。狙いは、欧州の主戦場とは少し違う「世界市場の上級ど真ん中」を取りにいくこと。いわば“国際旗艦”として、サイズ感も装備も、そして何よりデザインの見せ方も「上に寄せた」一台です。まず韓国、その後に南米、湾岸地域へ……という展開の筋書きが明確な点も、このクルマのキャラクターを決定づけています。
“Eセグメント”をルノー流に再解釈。外観は彫刻的、室内はラウンジ志向
誰もがSUVらしいボリュームをただの塊で終わらせず、面の切り替えと光の当たり方で「造形物」に見せる方向に振ったフィランテ。早速、発売未定の日本でも「発売してほしい」の言葉が出始めています。昔のルノーにあったまずフロントは、顔つきそのものが“ブランドの格”を担う新設計で、グリル周りの処理は過度に盛らず、ライトと中央モチーフで印象を作るタイプ。最近のトレンドである“デジタルっぽい光のサイン”を、ルノーらしく少し上品にまとめています。ポイントは、ライトの意匠だけで「新しいルノー」を説明できるところ。
また、過度のEVらしさ、環境配慮系デザインではなく、スポーティなルノーを演出しているところが好感もてます。

サイドは、Eセグ級らしい長さと、クロスオーバーらしい腰高感のバランスで勝負しています。ここで効いているのが、ボディ面の作り方。単なるキャラクターライン(線)で飾るのではなく、面の“張り”と“逃げ”で陰影を作る。たとえば、ドア上部の緊張感と、下部の量感を分けることで、実寸よりも引き締まって見せる狙いがあります。大型SUVは「太って見える」危険があるけど、フィランテはその弱点を“面の設計”で処理しにいっている印象です。

リアは、クロスオーバーらしい安定感を保ちつつ、クーペ的にまとめて“上級感”を稼ぐ作り。とくに、リアのボリュームを下に置きつつ、上はスッと収束させることで、見た目の重心を低く見せています。ここで効くのがブラックの使い方で、ピラー周りやガラスエリアの“抜け”を作り、ボディの塊感を軽くする。上級クロスオーバーに多い手法ですが、ルノーは比較的クリーンに使ってきた、という印象です。全長は4915mm、全幅1890mm、全高は1635mm。

色と素材のトーンは派手な装飾やメッキで高級感を作るのではなく、面の品質と光の表情で演出。室内は、外観よりもさらに「ラウンジ」という言葉が似合う方向で、テーマは「プレミアム・テック・ラウンジ」。大型スクリーンや照明演出を含めて、乗る人が“過ごす場所”として整っています。シート形状や頭上空間、視界の抜け、素材の触感など、細部の“ストレスの少なさ”が価値になるクラスだからこそ、ルノーが得意な人間中心の発想が活きる領域でもあります。AIが分析するパーソナライズ機能を搭載し、コネクテッドの「テクノ」も充実。
幅広いダッシュボードに見えるのは、3つの12.3インチスクリーン。これに25.6インチの拡張現実ヘッドアップディスプレイが加わわります。パノラミックサンルーフはとにかく大きく、3つのゾーンにわけて温度調整が可能で、微粒子(PM2.5)を監視する空気清浄システムがサポートします。
フルハイブリッドE-TECH 250ps+先進運転支援。上級車らしい“余裕”を作りにいく
パワートレインはフルハイブリッドE-TECHの250ps仕様を採用。最大トルク250Nmを発生する1.5リットルターボチャージャー付きガソリンエンジン(150hp、250Nm)と、DHT Proオートマチックトランスミッションに統合された2つの電気モーターを組み合わせることで、システム合計出力は250hp、最大トルク565Nmに。上級クロスオーバーに求められるのは、「合流や追い越しで気持ちよく余裕がある」ことで、電動化を“我慢のため”ではなく“余裕を作る手段”として使う、というメッセージが読み取れます。燃費は15.1km/Lで、市街地では75%の時間を電気モーターのみで走行。
運転支援も、事故回避や視界補助、車内の安全といった、現実に効く方向へ。派手な自動運転“風”の見せ方より、日常の安心と疲労低減を積み上げるタイプの上級化です。





韓国・釜山生産で、まず韓国。そこから南米・湾岸へ──「欧州の外側」を主戦場にするクルマ
生産は韓国の釜山工場で、まず韓国でローンチし、南米、湾岸へ展開という流れ。つまり、フィランテは“世界市場で勝つための上級車”として設計されていて、欧州で評価されるコンパクトさや軽快さとは別の価値、たとえば「大きさ」「居住性」「存在感」「装備の厚み」が効く地域で戦うための一台です。
デザイナーは韓国とルノーの共同で、プラットフォームは吉利(Geely)グループとの提携による「CMAプラットフォーム」。アジアを中心とした新戦略でありながら、日本での発売は未定です。
「Filante」という名前が示すもの。スピード記録の系譜を、いまの旗艦へ
フィランテという名前は、ルノーのヘリテージ(速度記録への挑戦)とつながる意図が込められているらしく、フランス語で「流れ星」を意味します。1956年にボンネビル・ソルトフラッツで速度記録を樹立した伝説的な実験車「エトワール・フィラント」に由来。単なるネーミングではなく、旗艦として“物語”を背負ってもらうのがフィランテ。日本発売は未発表ながら、評判が良ければ日本仕様登場は十分ありえます!



