ボルボの動画を使ったイメージ戦略は完璧。
女性も男性も、働く人も家庭の人も、誰もが主人公になっていて、世界中の誰でもボルボに乗る自分のイメージを想像しやすい。
筆者がボルボを買ったら、しばらくはこれらの動画のイメージで素敵なクルマ生活を送れると思う。
「Adventure That Knows No Limits」は、V90クロスカントリーをモデルにしたプロモーションムービー。
動画には必ず、スカンジナビアを思わせる風景、人が登場する。
本国の人々にとってはこういったイメージ映像が効果的かどうかわからないが、世界の人々にとってはスカンジナビアというブランドを感じることができる。
森、湖、白夜。
曲は他のムービーでも用いられているもので、
This is what I made of(私を形づくるもの)というメッセージ。つまり、「私はスウェーデンからできている」という意味。
夜の森に灯りがともる。フラットな北欧らしい家が浮かび上がり、カヤックを載せたクルマは夜明け前の道を往く。
クルマに乗った男女は薄明となった朝陽の灯りを目指してカヤックに。
一方で、さきほどの家から出た女性がひとりV90に乗る。
クルマは自然の中を往く。
別の部屋。赤んぼうを抱いた男性。夜泣きをあやす。それを見つめる女性。男性がカーテンを開けると、朝陽が目の前に。
カヤックに乗っていた女性が朝陽を見ている。
一人の女性が乗ったV90は、まだ道の上。朝陽がクルマを照らす。
もし日本でも都会ではなかったら、夜明け前にふと目が覚めて、クルマに乗ってどこかに行きたい。
そんなときボルボはイメージが合致する。
でも、たとえば関東だったら、どんなに走っても住宅街。
それでも、ボルボだったら走りたくなるかもしれない。
だれもいない道を、朝陽を浴びながら走る。
そんなイメージを独占しようとしているのが、ボルボなのだ。