Official Movie

顔は未来、中身は熟成。2027年クライスラーパシフィカのリアル


2027年モデルのクライスラーパシフィカが発表されました。クライスラーは日本市場から消えたので情報がなかなか届きませんが、アメリカ勢も時代に合わせて頑張っているので、チェックしたいところ。パシフィカは人気のミニバンですが、2027年モデルは「変わったようで、実は変わっていない」という不思議なバランスを持ったモデルです。

今のクライスラーは、実質的にこのパシフィカが主力モデルであり、ブランドの象徴的存在。そのため、このアップデートは単なる年次改良ではなく、「これでまだ戦う」という意思表示のような意味合いを持っています。

それをもっとも強く表したのは、エクステリア。フロントフェイスは従来の穏やかなミニバン的表情から一転し、かなり未来志向のデザインへと振れています。縦型のLEDヘッドライトに加え、ピアノキーのように光るグリル、横一文字に伸びるライトバー、新しいウイングロゴなど、いわゆる“今っぽさ”を強く意識した構成です。


ヘッドライトの構成は従来の横基調ではなく、縦に落ちるようなLEDヘッドライトが採用されています。いわゆる“縦型シグネチャー”で、これだけでも印象はかなり変わります。ミニバンというより、ちょっとSUVやEV的な雰囲気に寄せてきた感じです。

その中央にあるのが、新しいウイングロゴ。そしてそのロゴを起点に、左右へスーッと伸びる横一文字のライトバーが組み合わされています。この“横の光”が入ったことで、クルマの幅が強調されて、かなりワイドで低く見えるようになりました。

“ピアノキー”と呼ばれるグリルは、グレードによって表情が大きく異なります。標準仕様ではブラックの立体パターンとして落ち着いた印象ですが、上位グレード(Select/Limited/Pinnacle)ではここが発光し、フロントフェイスの印象を大きく変えます。

この縦の光と、横に伸びるライトバーが組み合わさることで、全体としては“縦と横の光のグリッド”のような表情になっています。従来のクローム中心のグリルとはまったく違う、かなりテック寄りのデザインです。

さらに面白いのが、ライトの役割の再配置です。従来はヘッドライトが主役でしたが、今回のパシフィカはむしろグリル側の発光が主役。そのため、実際の照射機能はバンパー下側に移動し、デザインとしての“光”と、機能としての“光”が分けられています。

上位グレードでは、アンロック時にロゴ→ライトバー→ピアノキーと順番に光るアニメーションも用意されています。ここまで来ると、完全に“演出としてのフロントフェイス”ですね。

全体として見ると、このデザインはかなり意図的です。

これまでのパシフィカは「優しいファミリーカー」という顔でしたが、今回はそこから一歩踏み出して、“テクノロジー感のある存在”に見せようとしている。しかもEVっぽい文脈を感じさせつつ、中身はV6というギャップも含めて、なかなか面白いところです。

つまりこのフロントは、単なるデザイン変更ではなく、「これからのクライスラーの方向性」を強く表現した部分と言えそうです。

日本に佇むパシフィカを夢想
首都高とパシフィカ

オプションで設定できる車内カメラ

パワートレインに関しては基本は継続。主力はこれまで通り3.6リッターV6エンジンで、日本人としては驚きのエンジンで、なんと約287馬力を発生します。ミニバンでV6はもしかしたら楽しいかもしれないですが、すごいのはプラグインハイブリッドを廃止したこと。時代に逆行しているのか、それとも正常進化なのか。今は正直わからないですね。

エンジンは9速ATと組み合わされ、駆動方式はFFまたはAWDが選択可能となります。日常使いからロングドライブまでを無理なくこなせる、ある意味で安心感のある構成。

一部では2.0リッターターボエンジンの投入も噂されていますが、現時点では確定情報ではなく、あくまで可能性の段階にとどまっています。

人気のStow’n GOは継続だ!

インテリアは大きく変えられていません。むしろ、完成度の高さを維持する方向です。床下にシートを収納できるStow’n Go機構は引き続き採用され、8人乗りの実用性もそのまま受け継がれています。素材や細部の質感には改良が加えられていますが、基本思想は「使いやすさを崩さない」ことにあります。

グレード構成も整理されています。新たにLXがベースグレードとして設定され、これまでのVoyagerは実質的に統合される形となりました。ラインアップをシンプルにして、わかりやすくした印象です。

価格帯は約4.3万ドルからと見られ、日本円に換算すると650万円前後。日本でこのサイズ、この内容を考えると、なかなか強気な価格設定ですが、本国ではしっかり勝負できるレンジです。

全体を見ていくと、この2027年モデルは“進化”というより“熟成と延命”に近い一台です。室内空間の使いやすさやV6エンジンの安定感といった強みはそのままに、見た目だけを現代に引き寄せたモデルといえます。

ただし、設計自体は長く使われているため、新しさという意味ではやや物足りなさもあります。特に、ハイブリッドの消滅や、トヨタ・シエナや起亜カーニバルといったライバルの進化を考えると、競争環境は決して楽ではありません。

それでも、このクルマには独特の価値があります。徹底的に使い勝手を磨き込んできたミニバンとしての完成度。そして「家族の道具」としての安心感。それに、今回加えられた少し未来寄りの表情。

言ってしまえば、2027年のパシフィカは「熟成されたアメリカンミニバンに、新しい顔を与えた一台」です。

劇的な革新ではありません。ただ、今ある強みをどう活かすか。その答えとしては、かなりクライスラーらしい一手だと思います。


■スペック(2027 Chrysler Pacifica)

・エンジン
3.6L V6(約287hp)

・トランスミッション
9速オートマチック

・駆動方式
FF / AWD

・乗車定員
最大8人

・特徴装備
Stow’n Goシート(床下収納機構)

・ハイブリッド
設定なし(PHEVは2026年で終了)

・価格帯
約43,000ドル〜(約650万円前後)

・主な変更点
フロントデザイン刷新(縦型LED・ライトバー・新ロゴ)
グレード整理(LX追加、Voyager統合)
内装質感の向上(基本設計は継続)


返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください