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猛暑と大型バイクの未来 ― 排熱がライダーの選択を変える

日本の夏は、いや、世界の夏は年々厳しさを増している。35℃を超える猛暑日が当たり前となり、今年は40度が最高で35度が涼しいなんて思うこともあった。

アスファルトからの照り返しも相まって、都市部では体感温度がエグい。そして、この気候変動は、ライダーにとって快適性や安全性を脅かす大きな要因となっている。なかでも深刻なのが、大型バイクの排熱問題だ。

大型バイクと排熱の現実

排気量が大きいエンジンは、出力の大きさと引き換えに多大な熱を生み出す。走行中は風で冷やされるものの、低速や停車時にはライダーの足元や腰回りに熱が滞留し、真夏には耐え難い状況となる。これは単なる快適性の問題にとどまらず、熱中症リスクや集中力低下といった安全面の課題にも直結する。

大型バイクにおいては、1000ccを超えるエンジンが剥き出しという非常事態。車と違い、自分の真下にエンジンがあるわけなので、熱いのは当然。以前乗っていたCB650Rは短い靴下を履くとくるぶしあたりがとにかく熱い。

ハーレーのナイトスターは、Vツインのシリンダーがシートの真下にあるためか、水冷なのにとにかく熱い。交差点で止まると激アツなのでエンジンを止めるしかない。まるで、「止まらないでください」とディーラーに言われる空冷ドゥカティと同じだ。

もちろん、50ccなんて2スト空冷でもそんなことはなかった。今は空冷350ccだけど、真夏でも快適。250も排熱が問題になることはない。400ccあたりから、排熱は少し影響が出てくる。800ccからは真夏の排熱地獄が始まる。

大型には魅力的なバイクが多いから、誰も思いたくないし避けている話題だけども、「排気量が400ccを超えるあたりから排熱の苦痛が一気に増す」問題は確実に存在する。

そして、酷暑となった今年、そして去年からの日本の夏を考えると、購入を躊躇うほどなのだ。


海外ライダーは何と言っている? —排熱の実感と“暑さの地獄”ポイント

典型シーン:信号待ち・渋滞・低速

  • 「停車や低速時にふくらはぎ/脛/太ももを直撃」「ファンが回ると熱風が腿に当たる」という声が多数。米ハーレーStreet系のスレでは“ラジエーターファンの熱が静止時に直撃する”との報告。 (hdstreetforums.com)
  • 大排気量Vツインや“脇を通る高いエキパイ”配置のモデルは、構造上の放熱レイアウトで不利になりやすい、という体感談が続く(Ducati/Panigaleや一部マルチでも)。 (Ducati Motorcycle Forum)
  • 高温日(30℃↑)+右脚が“焼ける”と訴えるKTM 1290系の事例。高速でも脚に熱が来るという書き込みも見られます。 (advrider.com)

車種ごとの“あるある”

  • トライアンフ Scrambler 1200:右側高い位置のエキパイ由来の熱を“渋滞や低速で右脚に感じる”体験が繰り返し共有され、デカットや追加遮熱で対処するTipsも。 (scramblerforum.com)
  • ホンダ Africa Twin:ビッグツイン由来の発熱を“街乗りでファンが頻回に回る/ライダーに熱が来る”と話題に。逆に「走っていれば気にならない」という反対意見も並存。 (africatwinforum.com)
  • ハーレー Street/ナイトスター系:右脚付近の触媒/排気取り回しと熱風の抜けで“焼ける”系の不満が定番。 (hdforums.com)
  • KTM 1290(SAS/SAR)シート下/後バンク熱の訴えが多い一方、走行風が当たれば気にならないという投稿も。年式差・対策有無で体感が割れる。 (ktmforum.co.uk)
  • Ducati Multistrada V4:砂漠で走っていれば気にならないという声もあり、停車時間と風の当たりが鍵。 (ducati.ms)

共通点

  • 排熱の不快感は、特に停車時や信号待ち・交差点で顕著。
  • 排気量が大きいモデル(ミドル〜大型・ツアラーなど)のほうが体感が強い。
  • 空冷または排気系の遮熱・レイアウトの関係で、足・ステップ・腰・膝の位置に熱が伝わるかどうかで違いがある。
  • 一部では「マフラー/触媒近くが高温になって、装備や靴などに影響がある」「触れそうで怖い」「熱対策パーツが欲しい」という意見。

共通して語られる“なぜ熱いのか”

  • 排気量・シリンダ容量が大きいほど発熱は増える。さらに
    • 触媒の大型化/位置(足元直近)
    • ユーロ5/5+対応で混合気が薄くなりやすい→燃焼温度↑→体感熱が増えるという見立ての投稿が欧米フォーラムで散見( (650f.bike)
  • 結論として、「大排気量+厳排ガス+触媒位置+渋滞/停車」が揃うと“地獄化”。海外の“ミドルまではマシ/ビッグは停車が辛い”という投稿傾向あり。 (advrider.com)

  • 走っていれば問題ない」「高速巡航では熱を感じない」という投稿も少なくない(Multistrada/KTM/一部HD)。つまり“停車・低速条件をどれだけ避けられるか”で体感評価が大きく変わるのが実情。 (ducati.ms)

まとめ:世界的にも“暑さ×停車×大排気量”は地雷原。だから選び方が変わる

  • 実感の核は日米欧共通で「停車/低速で脚回りが焼ける」。
  • 要因の束(大排気量・触媒位置・ユーロ5/5+・風の抜け・フェアリング設計)が重なると“夏の街乗りは苦行”。
  • ミドル以下や電動、あるいは熱設計に気を使った水冷モデルへ“実用移行”する声が目立つ一方、ツーリング専用用途なら“大型でもOK”という住み分けが進行中。


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