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並列二気筒270度クランクがトレンドの今、かつてホンダがやっていたV型52度エンジンとハーレー・レボリューションMAXの「270度」に注目。

ホンダのホーネットが270度クランクの二気筒エンジンを採用して、いよいよホンダの並列2気筒270度クランクに対する本気度が伝わってきました。

トライアンフもほぼ全車に並列2気筒270度クランクを採用し、270度という数値だけを取れば、実はドゥカティのL型、ハーレーの新型エンジン、みんな270度クランクです。

どうしてそんなに270度がいいのかというのはさておき、ホンダが今まで270度に興味がなかったわけではないという話を知ってますか?

過去、ホンダは1988年のアフリカツインや、ブロスなどで270度に関係するエンジンを作っています。

それは、シリンダーに角度をつけて設置するV型。その角度が52度というエンジン。

動画を見てもらえばわかるとおり、今出しても人気が出そうな音を出しています。

もし並列二気筒270度クランクのエンジンフィーリングを知っている人ならば、このサウンドはどことなく270度に似ているなと思うかもしれません。

実は、このエンジンは52度というシリンダーの角度(挟み角)にも関わらず、燃焼感覚は270度クランクのものと一緒なんです。

名称的には52度V型二気筒38度クランク位相になるのですが、エンジンの爆発タイミングは並列二気筒270度クランクと同じ。いったいどういうことでしょうか?

270度クランクというエンジンの爆発タイミングは、バンバンと二回燃焼して、そのあと少し長い休みがあるという感じです。ハーレーの45度は、それよりタイミングが等間隔に近くなります。

並列二気筒の場合は、この爆発タイミングを自由に設定できます。それぞれのシリンダーの長い柄の部分であるコンロッドと、クランクシャフトを繋ぐ部分がシリンダー毎に分かれているからです。

でも、V型の場合は基本的に二つのシリンダーやコンロッドが、クランクシャフトを共有するので、クランクピン(コンロッドとクランクウェブを結ぶ場所)が同じになります。

同じになると、それぞれのシリンダーの燃焼タイミングは、シリンダーの挟み角の影響を受けるようになります。

そして、それがドゥカティのように90度になると、片方が燃焼したときのピンから、270度まわったあとにもう片方のシリンダーが燃焼するようになります。それが270度クランクです。

並列二気筒270度クランクは、このL型の仕組みを再現したものです。

ブロスのエンジンは、その角度が52度なので、ハーレーの45度に近く、普通なら等間隔(完全な等間隔は360度ごとの燃焼)に近くなるはずです。ですが、270度の感覚で燃焼するのです。

これは、V型でありながら、シリンダーのクランクピンの位置を少しずらして、なんとか270度の燃焼間隔にしています。

もし単に52度V型なら、ハーレーのようなエンジンになるのです。でも、このクランク位相(場所を変える)ことで、それよりはスムースなエンジンになります。

90度L型は振動が少ないのですが、角度を狭めることで振動が発生します。その角度が大きければ大きいほど、振動は大きくなります。並列二気筒も、L型より発生します。どうして各メーカーがL型にせずに並列二気筒270度にするのかというと、低回転時にエンジンの鼓動、味付けを楽しめるからです。レイアウトの問題もありますが、今はその味わいでバイク選びをする人が増えてきたからだと言えます。ただし、270度の特徴として、高回転もスムーズなので、運動性能も問題ありません。また、何よりトラクションがいいという側面でメリットを語られることが多いのが270度です。

ハーレーが新しく出した新型エンジン、レボリューションマックスは、まさにブロスやアフリカツイン(1988)のエンジンと同じ方式を採用しています。角度は60度。ずらした角度は30度。結果、270度クランクになっています。

45度の鼓動感が愛されているので、L型まで振動がないのは不人気になるだろうということで、環境性能や高回転性能を実現しながら、鼓動もある270度クランク(結果的に)にしました。

V型というレイアウトも大切にしています。

ただ、並列二気筒270度クランクの心地よい鼓動感に比べ、L型に近い60度は少し鼓動感が柔らかめ。

鼓動感を何より優先してきたハーレーオーナーたちにとって、新型エンジンへの乗り換えは難しい課題となっています。

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