
イタリア・ミラノで11月3日に開幕した世界最大級のモーターサイクルショー「EICMA 2026」。今年も各メーカーから魅力的な新型バイクが続々と発表されました。
ロイヤルエンフィールドは新開発の750ccエンジンを搭載した2モデルを発表。スズキはVツインエンジンを継承するSV-7S、ハーレーダビッドソンは440cc単気筒のスプリント440を投入するなど、個性的なミドルクラスが目立ちます。
一方、ヤマハは新ジャンルのアドベンチャースクーター、ホンダはフルモデルチェンジしたアフリカツインや新技術を搭載したV型3気筒モデルを公開。
2027年に向けて、バイクの世界がますます面白くなりそうです。今回は、EICMA 2026で発表された注目モデルをまとめて紹介しましょう。
ロイヤルエンフィールド Continental GT 750
今回、個人的にも大いに気になるのがロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT 750です。
人気のコンチネンタルGT 650をさらに発展させた新型カフェレーサーで、新開発の743cc空油冷並列2気筒エンジンを搭載。ロイヤルエンフィールド史上、最も高いパフォーマンスを持つ市販モデルになるといいます。

スタイリングは従来のGTらしさを残しながら、よりスポーティーに進化。カウルなしとカウル付きの2タイプが用意され、カウル付きはハンドル位置も低く設定されています。

電子制御を必要以上に増やさず、アナログな乗り味を大切にしている点も魅力。メーターにはTFTディスプレイを組み合わせた独特の2眼式を採用しています。
コンチGTはセパハンまわりの造形や塗装が1世代前感がありましたが、今回の新型で塗装は変わりました。

ロイヤルエンフィールド Himalayan 750
コンチネンタルGT 750と同じ新開発743cc並列2気筒エンジンを搭載するのが、ヒマラヤン750です。
最大トルクは63Nm/5,000rpmで、3,500rpmからその90%を発揮。低回転から力強く走れるエンジン特性を重視しています。
従来のヒマラヤン450から排気量が大幅に拡大しただけでなく、6軸IMU、コーナリングABS、トラクションコントロール、クルーズコントロールなどを採用。5つのライディングモードも備えます。
ホイールは前19インチ、後17インチ。長距離ツーリングから未舗装路まで対応する、新たなアドベンチャーモデルとなりました。


ロイヤルエンフィールド × Deus Ex Machina「Son of a Gun」
もう一台、ロイヤルエンフィールドから紹介したいのが、オーストラリア発のカスタムブランド「Deus Ex Machina(デウス・エクス・マキナ)」とのコラボレーションモデルです。
ベースはショットガン650。深みのあるレッドとクリーム、ゴールドを組み合わせたカラーリングが特徴で、通常モデルとは異なるカスタムバイクらしい雰囲気を持っています。
この「Son of a Gun」はワンオフのカスタム作品として発表されましたが、これをもとにした限定モデルが2027年に世界100台限定で生産される予定です。



スズキ SV-7S
スズキからは、SV650の後継的な存在となるSV-7Sが登場しました。
搭載するのは、おなじみの645cc水冷90度V型2気筒エンジン。近年は並列2気筒を採用するメーカーが増えていますが、スズキはSVシリーズの特徴でもあるVツインを継承しました。
新たに電子制御スロットルを採用し、3種類のドライブモード、トラクションコントロール、双方向クイックシフターなどを装備。
丸型LEDヘッドライトを採用したデザインは、シンプルでオーソドックス。装備重量は200kg、シート高785mm、燃料タンク容量14L、WMTCモード燃費24.4km/Lとなっています。
SV650が持っていた親しみやすさに、現代的な装備を加えた新型モデル。2027年春頃から各国で順次販売される予定です。



ハーレーダビッドソン Sprint 440
ハーレーダビッドソンが発表したのは、意外にも440ccの空冷単気筒エンジンを搭載するスプリント440です。
インドのHero MotoCorpとの共同開発によって誕生したモデルで、最高出力は27PS。スリムな車体にシート高683mmという低い着座位置が特徴です。
車両重量は187kg。倒立フロントフォーク、カラーTFTメーター、LED灯火類など、現代的な装備も採用しています。
1960年代に存在した「スプリント」の名前を復活させたことも興味深いところ。
大排気量Vツインのイメージが強いハーレーですが、今回のモデルは、より気軽に楽しめるバイクとして新しいユーザー層を意識しているようです。
日本での販売も予定されていますが、発売時期や価格については今後の発表を待つことになります。
ヤマハ RW700 / RW350
ヤマハからは、新たなグローバルブランド「RW」シリーズが登場しました。
RW700は689cc水冷並列2気筒のCP2エンジンを搭載するアドベンチャースクーター。MT-07などでおなじみのエンジンに、クラッチ操作やシフトペダル操作を必要としないY-AMTを組み合わせています。
通常の自動変速だけでなく、手元のスイッチで変速できるMTモードも用意。
前後にロングストロークサスペンションを備え、未舗装路での走行も想定しています。さらに、快適装備を充実させたRW700 EXPLOREも設定されています。
一方、RW350は新開発の327cc単気筒エンジンを搭載。CVTを採用しながら、エンジンをフレームに固定してCVTユニットのみを揺動させる「Yamaha Dynamic Ride」という新機構が特徴です。
RWシリーズは日本でも2027年秋以降に発売される予定。
スクーターの手軽さとアドベンチャーバイクの走破性を組み合わせた、面白い提案です。



スズキ GSX-10R
スズキはSV-7Sに加え、新型フルカウルスポーツ「GSX-10R」も世界初公開しました。
GSX-Rシリーズで培ってきた技術を受け継ぐ999cc直列4気筒エンジンを搭載。低中回転域の扱いやすさと高回転域での力強さを両立させています。
セパレートハンドルやフロントウイングレットを採用したスポーティーなスタイリングでありながら、街乗りからツーリング、サーキット走行まで幅広く楽しめることを目指しています。
電子制御装備も充実。スライドコントロールやクルーズコントロールなど、15種類の電子制御機能を搭載しています。
燃料タンク容量は18L。2027年夏頃から各国で順次発売予定です。
ホンダ CRF1150L Africa Twin
ホンダはアフリカツインをフルモデルチェンジし、新型CRF1150L Africa Twinを発表しました。
エンジンの排気量拡大に加え、車体各部を軽量化。燃料タンクの一部をシート下に配置するなど、低重心化も図っています。
従来のアフリカツイン、アドベンチャースポーツに加え、オフロード性能をさらに追求した「Enduro Sports」を新設定。
また、Adventure Sportsには、ホンダの二輪車として初めて先進運転支援システム「Honda SENSING RIDE」を搭載します。
アフリカツインは排気量だけでなく、車体構成や電子制御の面でも大きく進化しました。
ホンダ V3R 900 E-Compressor
ホンダが公開したもう一つの注目モデルが、V3R 900 E-Compressorです。ついにという感じです。
最大の特徴は、電子制御過給機を組み合わせた独自のV型3気筒エンジン。排気量は900ccで、過給機によって従来の自然吸気エンジンとは異なるパフォーマンスを目指しています。
左右非対称のスタイリングに加え、チタン製の燃料タンクやエキゾーストシステムを採用。AIを活用した音声操作機能なども備えています。
今回は市販予定車として展示されたもので、正式な発売時期や価格などは今後の発表となります。



カワサキ Versys 900
カワサキから登場した新型ヴェルシス900は、Z900系の直列4気筒エンジンを搭載するスポーツツアラーです。
最高出力は122PS、最大トルクは97.3Nm。新設計のトレリスフレームに前後17インチホイールを組み合わせています。
先進装備も大きく進化。アダプティブクルーズコントロール、前方衝突警告、ブラインドスポットモニターなどを採用しています。
シート高は825mmと845mmの2段階で調整可能。長距離ツーリングでの快適性を重視したモデルです。
ノートン 450 Urban
英国の老舗ブランド、ノートンからも興味深い新型車が発表されました。
その名も450 Urban。排気量454ccの単気筒エンジンを搭載し、最高出力は47PS。アルミフレームにKYB製フロントフォークなどを組み合わせています。
ロードモデルに加え、ハンドガードやウインドスクリーンなどを装備したアウトドア志向の仕様も用意。
近年、新しいモデル展開を進めているノートンですが、今回の450 Urbanは、より身近なミドルクラスへの参入となります。
2027年のバイクは、ますます多様化する
今回のEICMA 2026で特に印象的なのは、ミドルクラスの充実です。
ロイヤルエンフィールドは750ccへと排気量を拡大する一方、ハーレーダビッドソンは440cc単気筒という新しい方向に挑戦。スズキは伝統のVツインを継承し、ヤマハはアドベンチャースクーターという新しいカテゴリーを開拓しています。
さらにホンダは新しいV型3気筒エンジンや先進運転支援技術を投入するなど、エンジンや電子制御の面でも新たな動きが見えてきました。
バイクは単に高性能になればいいわけではありません。デザインやエンジンの個性、扱いやすさ、そして乗っていて楽しいこと。それぞれのメーカーが異なる方向からバイクの魅力を追求しているのが、今回のEICMAの面白いところでしょう。
日本への導入が決まっていないモデルもありますが、2027年に向けて楽しみな新型車が揃いました。
