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X500に乗ったら、ベネリ・レオンチーノ500が欲しくなった

ベネリ レオンチーノ500 ※生成画像です

ハーレーダビッドソンX500の販売が終わる。それほど注目されないまま、短い販売期間だった。

でも、ずっと気になっている。

このバイクが出たころ、試乗したことがある。ハーレーのショップに点検で通っていたので、さほど興味はなかったけれども、アイドリングの音が良かったのでもしやと思い、またがってみた。

走り出すと、まず素晴らしい低音。回しても、うるさくならず、低音を響かせて回転数の上昇を知らせてくれる。

これがまさに好み。車でもなんでも、レブが上がったときにうるさくなるのが嫌。

でも、上がったことは知らせてほしい。

4気筒のようにヒューンと滑らかに回るわけでもなく、単気筒のように一発一発の鼓動を強く主張するわけでもない。低くこもった「ブーン」という音を伴いながら、2気筒らしい感触をわずかに残して回転が上がっていく。

調べてみると、X500のエンジンは500ccの水冷並列2気筒。ボア×ストロークは69×66.8mmで、最高出力47HP/8500rpm、最大トルク46Nm/6000rpm。

そして、もうひとつ気になったのが360度クランクだった。

今では珍しい360度クランクの2気筒

並列2気筒というと、現在は180度や270度クランクが主流。

特に最近は270度クランクが多く、ヤマハのCP2をはじめ、トライアンフのボンネビル系、ロイヤルエンフィールドの650ツインなども270度。Vツインと同じ不等間隔爆発になるのが特徴だ。

それに対して360度クランクは、2つのピストンが一緒に上下する。4ストロークなので爆発は交互に訪れ、燃焼間隔は360度ずつ。昔の英国車などではおなじみの方式だったが、現在の500cc前後ではかなり珍しくなった。

日本車で分かりやすいところではカワサキW800が360度。ただしこちらは773ccの空冷ツインで、ボア×ストロークも77×83mm。かなり性格が違う。

以前販売されていたW400も360度クランクだった。こちらは399ccで72×49mmというかなりのショートストローク。X500のフィーリングがW400に似ているという話があるのも面白い。

ということで、あのエンジンの味付けが忘れられず、時々思い出す。

だけども、いつも引っかかるのがあのデザイン。

不恰好なタンクに、ハリボテのようなリアフェンダー。あれはやばい。

ハーレーが心配になるほどのデザインで出してきたのは、ハーレーに改革が必要なことを示唆している。もう、ロイヤルエンフィールドよりもデザインは魅力に欠ける。

じゃあ、X500のもとになっているバイクを探せばいいじゃないかと思い、Benelli(ベネリ)を探ってみた。

生成のほうがX500のリアフェンダーをかっこよくしてくれてる・・

ベネリって中国のメーカーなの?

Benelliは1911年、イタリアのペーザロで誕生したメーカー。実は100年以上の歴史を持つ、かなりの老舗だ。

ただし現在は中国のQianjiang(銭江=QJ)グループ傘下。さらにそのQJは、中国の巨大自動車グループGeely傘下にある。

つまり資本と大規模な生産基盤は中国。

一方、現在もペーザロにはBenelliのデザイン・開発拠点があり、現行車のデザインにもイタリア側が関わっている。

ベネリには以前から500ccの水冷並列2気筒エンジンがあるが、日本でも正規販売されているのは、アドベンチャーモデル、TRK502Xが搭載している。

水冷DOHC並列2気筒
360度クランク
ボア×ストローク69×66.8mm
最高出力35kW/8500rpm
最大トルク46Nm/6000rpm

X500も、

500cc水冷並列2気筒
69×66.8mm
35kW(47HP)/8500rpm
46Nm/6000rpm。

X500はQJ Motorとの協力によって生まれたモデルだから、QJ/Benelli系のエンジンをベースにしているのだ。

そして、このエンジンを積んだBenelliの別のバイクを見つけてしまった。

Leoncino 500。

Leoncinoは1951年からあった

「Leoncino」はイタリア語で「小さなライオン」という意味。

初代Leoncinoが登場したのは1951年。第二次世界大戦で工場が大きな被害を受けたBenelliが、戦後に復活していく時代を支えたモデルだった。

1953年にはイタリアの長距離公道レース、Motogiro d’Italiaでも勝利。LeoncinoはBenelliにとって、単なる車名ではなく歴史を象徴する名前のひとつになった。

その名前を現代に復活させたのが現在のLeoncinoシリーズ。

現代版Leoncino 500は、クラシックなモーターサイクルの雰囲気を残しながら、倒立フォークやトレリスフレームを組み合わせたネオクラシック。

フロントフェンダーの上には、小さなライオンまでいる。

この辺がイタリア人。必要かと言われれば必要ない。でも、いると欲しくなる。

通常のLeoncino 500のほか、19インチのフロントホイールなどを採用してスクランブラー色を強くしたLeoncino 500 Trailもある。

そして、その心臓が先ほどの500cc・360度クランクの並列2気筒。

つまり、X500に乗って「このエンジンいいな」と思った僕にとっては、俄然気になるバイクなのである。

日本では250が導入されているから、デザイン面では馴染みもある。

しかもイタリアでは結構売れている

Benelliという名前を日本で聞く機会は、ホンダやヤマハはもちろん、ドゥカティやトライアンフなどと比べても少ない。

ところが本国イタリアでの存在感は、想像以上に大きい。

2021年にはBenelli全体で1万2700台以上を販売。イタリアの二輪市場で10%を超えるシェアを獲得している。

特にTRK502は大ヒットし、イタリアで最も売れるモーターサイクルになった時期もある。

Leoncino 500もBenelliの販売を支えるモデルのひとつ。

つまり「中国で作った謎のイタリアブランド車」というような存在ではない。少なくとも本国イタリアでは、普通に多くのライダーから選ばれているメーカーになっている。

Leoncino 500 Trail

中国生産のバイクと聞けば、品質はどうなのかと思う人もいるだろう。

海外のLeoncino 500のオーナーレビューを調べてみると、評価は意外に高い。イタリアの大手バイクサイトに集まった100件を大きく超えるオーナーレビューでは、総合評価、エンジンともに高い評価を得ている。

英国の車検にあたるMOTのデータを見ても、Leoncino 500の初回合格率は9割近い。

少なくとも「すぐ壊れるバイク」という数字ではない。

ただし、オーナーの声を細かく見ていくと、灯火類や電装、ブレーキまわり、ボルトの緩みや錆などを指摘する例はある。逆に長距離を走っても大きな問題が出ていないというユーザーもいる。

ここは日本車とまったく同じ品質を期待するというより、個体差や細かな部分まで含めて付き合うバイク、と考えたほうがよさそうだ。

また、日本で所有するなら故障率そのもの以上に、販売店や部品供給のほうが気になる。

ただしBenelliには日本の正規輸入元があり、販売店網もある。そして何より、同系統の500ccエンジンを搭載するTRK502Xはすでに日本で正規販売されている。

少なくともエンジン自体が日本では未知の存在、というわけではない。

なのにLeoncino 500は日本にない

日本にはLeoncino 125や250が導入されてきたが、肝心のLeoncino 500は正規導入されていない。

しかも日本で正規販売されているTRK502XとLeoncino 500は、360度クランクの500cc並列2気筒をはじめ基本コンポーネントを共有する兄弟車。

エンジンは来ているのである。

だったらLeoncino 500もと思うのだけど、X500が日本に来ている以上、それは望めなかった。

ところがX500は生産終了

ハーレーダビッドソン ジャパンは2026年6月、X350とX500の生産終了を発表した。

追加生産、追加供給はなく、日本では正規ディーラーが持つ在庫がなくなり次第販売終了となる。

2023年に登場したばかりなので、わずか3年ほどでの生産終了となった。

もちろん、X500の販売終了とLeoncino 500の日本導入に関係があるという情報はない。

ましてや「X500がなくなったからLeoncino 500が来る」という話でもない。

ただ、少なくともこれまで日本に存在していた500cc・360度ツインのロードスターが、ひとつ消えることになる。

だったら、その空いた場所にLeoncino 500。あるかもしれない。

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