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MINI カントリーマンの1.5L 3気筒ターボ・B38とは? 誕生から現在まで

現行MINIカントリーマンCに搭載されているのは、1.5L直列3気筒ターボエンジンに、48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたパワーユニットです。

自分の車であるMINIコンバーチブルと同じB38系の1.5L直列3気筒ターボが、あの大きなカントリーマンにも採用されているとは、少し意外でした。

私が乗っているのは、一世代前のF57型MINIコンバーチブル。日本仕様ではCooperに採用されていたこのエンジンは、低燃費でありながら低回転から気持ちのよいトルクがあり、本当に飽きません。

幌を開けて走ると、3気筒らしい勇ましい音が聞こえてきて、ついアクセルを踏みたくなります。当時はMINIだけでなく、BMW 1シリーズや2シリーズ アクティブツアラー、X1など、かなり広い範囲で採用されていました。

ただし、最新世代のMINIコンバーチブルは、ガソリンモデルがすべて2.0L直列4気筒になりました。現行MINI Cooperには3気筒が残っているものの、コンバーチブルでB38を味わう機会はなくなってしまいました。

始まりは2011年のモジュラーエンジン構想

BMWがこのエンジンの開発を実際に始めた年は公表されていませんが、現在のB38につながる構想が公式に発表されたのは2011年です。

BMWはこの年、将来のガソリンエンジンとディーゼルエンジンを、3気筒、4気筒、6気筒で共通設計するモジュラーエンジン構想を発表しました。

その基本となったのが、1気筒あたり約500ccという考え方です。

500ccのシリンダーを3本並べれば1.5L、4本なら2.0L、6本なら3.0Lになります。

気筒数や排気量が違っても、シリンダー間隔、クランクケース、補機類の配置、製造方法などをできるだけ共通化できます。BMWは、エンジンファミリー全体で最大約60%の部品を共通化できると説明していました。

また、3気筒と4気筒については、横置きと縦置きの両方に対応できるように設計されていました。MINIのような前輪駆動車だけでなく、後輪駆動のBMWにも展開できる、かなり柔軟なエンジン構想だったのです。

このエンジンが、市販車用エンジンとして大きく姿を現したのは2013年です。

まず注目されたのが、プラグインハイブリッドのスポーツカー、BMW i8でした。

BMW i8の1.5L直列3気筒ターボは、最高出力231ps、最大トルク320Nmを発生。エンジンで後輪を駆動し、電気モーターで前輪を駆動するプラグインハイブリッドでした。

1.5Lの3気筒をスポーツカーのエンジンとして使ったことは、このエンジンの可能性を強く印象づけました。BMW i8は、BMWブランドの量産車として初めて3気筒ガソリンエンジンを採用したモデルでもあります。

同じ2013年には、3代目MINIとなるF56も発表されました。

MINI Cooperには、最高出力136ps、最大トルク220Nmの1.5L直列3気筒ターボを搭載。MINI Cooper Sには、同じモジュラー構想から生まれた2.0L直列4気筒ターボが搭載されました。

F56の初期型では、1.5Lエンジンが最大トルク220Nmを1250〜4000rpmで発生し、短時間ならオーバーブーストによって230Nmまで高めることができました。最高出力136psは4500〜6000rpmで発生します。

このBMWとMINIで広く使われた1.5L直列3気筒ターボが、B38と呼ばれるエンジンです。

2016年、F57コンバーチブルにも搭載

F57型MINIコンバーチブルは2015年に発表され、2016年から本格的に販売されました。

MINI Cooper Convertibleには、1499ccの直列3気筒ターボを搭載。初期型の欧州仕様では、最高出力136psを4400rpm、最大トルク220Nmを1250rpmから発生していました。

先代のR57型MINI Cooper Convertibleは、1.6L自然吸気4気筒で、最高出力は120psを6000rpm、最大トルクは160Nmを4250rpm。4000rpm付近まで回さないと、最大トルクは出ないピーク型です。最大トルクの発生回転数を低くするほど発進や街乗りが気持ちいいのですが、その分、高回転で最大馬力を上げるということができなくなります。

F57では排気量が1.6Lから1.5Lへ縮小され、気筒数も4気筒から3気筒になったのに、最大トルクは160Nmから220Nmへ増えています。しかも、その最大トルクを発生する回転数は、4250rpmから1000rpm台前半まで下がりました。

私が乗っている2018年型MINI Cooper Convertibleは、最高出力136psを4500rpm、最大トルク220Nmを1480〜4100rpmで発生します。燃料消費率は、当時のJC08モードで16.4km/Lでした。

初期型と2018年以降では最大トルクの発生回転数に違いがありますが、低回転から太いトルクが出るという基本的な性格は共通しています。後期型の公式資料では、最高出力136psを4500〜6500rpm、最大トルク220Nmを1480〜4100rpmで発生するとされています。

この最大トルクが1500rpm前後から出るのは、もちろんターボの効果です。

B38では、比較的小さなターボが低回転から空気を押し込みます。1500rpm前後から最大トルクを発生させ、その後も過給圧を制御することで、広い回転域にわたって220Nmを維持しているのです。

さらに、ガソリン直噴、可変バルブタイミング、可変バルブリフトなどを組み合わせることで、低回転から高回転まで効率よく空気と燃料を使えるようにしています。

自然吸気エンジンなら回転数とともに山型に盛り上がるトルクを、ターボと電子制御によって低回転から平らに引き出しているわけです。

そのため、街中でもエンジンを高回転まで回す必要がありません。走り出してアクセルを踏んだところから、ぐんぐん前へ進みます。

その分、最高出力の回転数が6500rpmと低いので、ぶん回して楽しむエンジンではないということです。

B38は、いわゆるダウンサイジングターボの考え方で作られています。

穏やかに走れば小排気量エンジンらしい燃費を狙えますが、220Nmを使って強く加速しているときまで、1.5Lらしい燃費になるわけではありません。

回転数が低くても、強く過給していれば燃料は使います。

「普段は小さなエンジン、必要なときは2.0L級の力」というのが、B38の基本的な考え方です。

BMWのさまざまな車種へ展開

B38系の1.5L直列3気筒ターボは、MINIだけにとどまりませんでした。

MINIではF56の3ドア、F55の5ドア、F57コンバーチブル、F54クラブマン、F60カントリーマンなどに採用されました。

BMW1シリーズ

BMWでは1シリーズ、2シリーズ クーペ、2シリーズ アクティブツアラー、X1、X2などにも使われています。

前輪駆動、後輪駆動、横置き、縦置きという違いを越えて展開できたのは、最初から幅広い車種への搭載を考えたモジュラー設計だったからです。

B38の歴史で特に重要なのが、MINIカントリーマンへの展開です。

2016年に発表され、2017年に発売されたF60型MINI Cooper S E Countryman ALL4は、MINIブランド初のプラグインハイブリッドでした。

前輪は最高出力136ps、最大トルク220Nmの1.5L直列3気筒ターボで駆動し、後輪は最高出力88psの電気モーターで駆動します。

同じ1.5L直列3気筒ターボが、高性能スポーツカーからファミリー向けSUVまで、異なる形のプラグインハイブリッドに使われたのです。

そして現行のMINI Countryman Cには、B38A15M2型の1.5L直列3気筒ターボが搭載されています。

こちらは高電圧バッテリーを外部から充電するプラグインハイブリッドではなく、トランスミッション内に電気モーターを組み込んだ48Vマイルドハイブリッドです。

エンジン単体の定格出力は156ps、最大トルクは240Nm。電気モーターのアシストを加えたシステム全体では170ps、280Nmを発生します。

先代カントリーマンではプラグインハイブリッド、現行カントリーマンでは48Vマイルドハイブリッド。同じB38系の1.5L直列3気筒ターボが、時代に合わせて電動化の方法を変えながら生き続けているのです。

現行MINI Cooperにも搭載

現行MINI Cooper Cの3ドアにも、B38系の1.5L直列3気筒ターボが搭載されています。

最高出力は156ps、最大トルクは230Nm。F56やF57の136ps、220Nmから性能を高めながら、現在もMINIの中心的なエンジンとして使われています。

ただし、現行のMINI Cooper Convertibleでは事情が変わりました。

F57の後継となる新型コンバーチブルは、ベーシックなCooper Cを含め、ガソリンモデルがすべて2.0L直列4気筒ターボになっています。

Cooper Convertible Cは最高出力163ps、最大トルク250Nmを発生します。

そのためF57は、1.5L直列3気筒ターボを搭載した最後のMINIコンバーチブルになりました。

B38の出発点は、2011年に発表されたBMWのモジュラーエンジン構想でした。

1気筒500ccという設計から生まれ、BMW i8ではスポーツカーのエンジンとなり、F56では新世代MINIの主力エンジンとなりました。

その後はF57コンバーチブル、BMWの1シリーズや2シリーズ、X1、X2などへ広がり、MINIカントリーマンではプラグインハイブリッドにも採用されました。

そして現在も、MINI Cooper Cでは通常のガソリンターボとして、MINI Countryman Cでは48Vマイルドハイブリッドとして使われています。

BMWが2010年代に始めたエンジン戦略を象徴し、その後の電動化にも対応してきた、息の長いエンジンです。

屋根を開け、3気筒の音を直接聞きながら走れるF57は、その歴史の中でも少し特別な存在なのかもしれません。

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