ポールスターの高級電動ブランド化は面白いと思ったが、結局ボルボは全車を電動化するらしい。
ニュースでは「全車種を電動化」というから、全車EVにするのかと思ったらそうではない。
マイルドハイブリッドとPHV、EVの3車種にするということで、ガソリンもしくはディーゼルのみのモデルが消えるということだ。
つまりトヨタがガソリン車をやめる状態になるということで、「全車EV化」というインパクトのあるものではなかった。
ニュースをまとめると、2019年から全モデルを電動化し、2021年までにEV車を用意するということ。
EVはボルボとして3台、ポールスターとして2台を用意するそうで、その他にプラグインハイブリッド、48Vのオプションを備えたマイルドハイブリッドを揃える。
EVはまだ充電環境が整っていないため、高級化して利益率を上げなくてはならないため、ボルボのプレミアム化の流れと合致したのかもしれない。
まだ主力はプラグインもしくはマイルドになるはずだが、その信頼性を失うとボルボは危険な状況になる。
苦労して開発したオリジナルエンジンは中途半端な完成度のまま、燃費向上もせずに終焉を迎え、ハイブリッド化していく。
プラグインハイブリッドはガソリンスタンドで充電しながら、EV走行もできる魅力的な車種だが、高いから売れない。
一方、ガソリンで発電し、電気で走るノートe-powerは安いから売れた。
でも超高級路線のテスラはリーフが何年もかけて売った台数の予約をとってしまっている。
まだまだ読めないから各社足踏みしている電動化だが、ボルボのイメージからすると少ししっくりくるのが不思議だ。
今まで高い理由がわからなかったが、これで理由がつけられるとも言える。
ただし、数値には消費者は敏感になったほうがいい。
欧州車のハイブリッドは現時点では意味のない数値しか叩き出せず、トヨタやホンダのような意味のあるハイブリッドには追いつけていない。
だから安易にEV化を試みているのだ。
ボルボのPHVとマイルドハイブリッドは、どれだけの燃費向上をもたらすのか。それが問題となる。
ロールスロイスは親会社のBMWの新技術開発に身を任せ、EVの時代が来たらハイブリッドを経験せずにEV化するという。理由は「ロールスロイスは完璧だから」。
こういった欧州勢の姿勢をみるたび、トヨタの人々は苛立つのではないだろうか。
新技術にいち早くチャレンジし、信頼性を積み上げ、ユーザーの立ち位置を考えながら電動化を少しずつ進めている会社。
プラグインハイブリッドに容易に飛び込まなかったのは、バッテリーの電気を1日のうちに使い切らないと劣化するため。
ユーザーのことを考えての決断だった。
EV化しないのは充電に時間がかかるため。いまはインフラの整ったガソリンで数分以内の充電が好ましい。
災害時に電気が普通になった場合、EV車だらけの世の中だと動きがとれなくなる。
たとえ充電ステーションが使えても、充電渋滞が発生する。
それほどの慎重姿勢をみせるなかで、登場したプリウスPHVは信頼性で期待できるものだ。何十年走っても安全であるために、何十もの安全装置を設定している。95個の電池セル監視装置はその一例だ。
こういった安全PHVの技術は将来的にEVへと繋がり、トヨタには水素電池とEVの時代が来る。
トヨタが脱エンジンを目指すのは2050年。
エンジン車はあるものの、すでに電気で走る水素自動車はあり、PHVもハイブリッドもある。
さて、ボルボのマイルドハイブリッドは48V。スズキのマイルドハイブリッドは12V。
これは、ドイツ勢がこぞって48Vを目指しているからで、量産化が今頃なのだ。
理由はトヨタ等のストリングハイブリッドはコストが高い(マイルドの4倍)。12Vでは効率が悪い。ストロングの200Vでは人体に危険。安全対策が必要となり、コストがかさむ。といったところだ。
そのかわり、ストロングに比べて燃費改善は40パーセントほど劣る。
ただし、高級車はそもそも燃費が悪く、車載電源も足りなくなっているので、とにかくマイルドでもつけたほうがいいようだ。
また、欧州の人々はまだ内燃機関のエンジンフィールが好きで、PHVのようするに電動の走りが好きじゃないから、エンジンのアシストだけをするマイルドでいいと考えている人が多いという。これはボルボの「ユーザーの電動化の要望に応えて」という意見とは相反する。
日本ではマツダやスバルが内燃で評価が高いため、内燃を磨きつつ48Vでアシストというのも一時期はあるのかもしれない。
ボルボにとっても、EV車を出すことはニュースだが、「ガソリン車およびディーゼル車をやめる」わけではない。
マイルドハイブリッドはあくまで内燃のアシスト。トヨタ・ホンダのハイブリッドよりもずっと「内燃」だ。