クルマの雑談。

内燃機関が消える前にすべきこと。

今日、「日産、ガソリンエンジンの新規開発を縮小…日欧中向け打ち切りへ」というニュースが報道された。

「内燃エンジンから電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)向け駆動装置の開発に投資を振り向ける」ということで、最近よく見かける話ではあるものの、日産でエンジンを開発している人たちからすると、絶望的な話だ。

たとえば内燃エンジンにまだ力を入れているマツダが同じような発表をしたら、開発部の人たちの落胆する姿が目に浮かび、いてもたってもいられなくなるかもしれない。

一方、車に比べて燃費がいいバイク業界においては、EVシフトの話はあるものの、ユーザー目線ではほとんどない。

車に比べて低価格で、車の高級車並みのスポーツをエンジンから感じられるバイクは、「どんなエンジンなのか?」がファンの大きな関心となっている。

単気筒なのか、二気筒なのか、四気筒なのか。V型なのか、並列なのか、L型なのかと、モーターサイクリストのほうが直にそれを感じられる分、関心が高いようだ。

そして、そのバイクがコロナ渦で人気となっている。

リターンライダーも未経験の若者も、このバイクの世界にどんどん飛び込んでいる。

そして、内燃機関を感じるモーターサイクリストの世界にはまっていく。

車の世界では、そういう話はあまり聞かなかった。だけども、マツダのロードスターが国内月販1000台を越えた。2022年1月は1122台。2020年後半から前年比を上回りはじめたという。しかも年齢層は5歳若返り、30代未満の構成比が15%から30%へ。理由のひとつに、「純粋なガソリンで味わえるスポーツカーは最後かもしれない」というEVシフトに対する反発があるという。

EVをまったく寄せ付けないバイク乗りの関心は、内燃機関への興味と、それを味わいたいという希望。

車ではハイブリッドが生まれて長いからなのか、そこの興味が薄い。高級スポーツカーだけが、興味深いエンジンを味わえるようになっている。

ロードスターはその中でも、エンジンの振動や動きを味わいやすい。1500ccなら思いっきり回転数をあげて公道を走ることもできる。

エンジンを眺めて磨くということもできるし、エンジンに対する距離は近い。

でも、バイクに比べれば距離は遠い。

もし車の内燃機関が消えていくのであれば、最後の数年間は、もっとエンジンとの距離が近くなるような工夫ができないものか。

バイクはエンジンが見えるし、その形自体が美しい。並列なのかV型なのかも見ればわかる。

音も振動もすぐ伝わるので、何気筒か当てることもできる。

マフラーから出る音が大きいかどうかではない。自分に振動と音が伝わればいいのだ。

ロードスターは振動がほどよく伝わるような工夫(骨伝導みたいなもの)がされているから、回転数を上げると微振動がして気持ちが良い。

BMWのボクサーエンジンはそれだけで個性として受け入れられ、崇められる。スバルのボクサーエンジンはどうなるのか。マツダのスカイアクティブXは誕生したばかりだ。Mazda3は排気音をマイナーチェンジで変えたという。

車内の静音性を大事にするのはわかるけれど、それはもうハイブリッドやEVに任せよう。

最後の内燃機関は、音を車内に取り込んでほしい。

高級スポーツカーの話をしているのではない。

一般的な車の話をしている。

実は、内燃機関の車も、回転数を上げれば、いい音、いい振動はドライバーに伝わる。

でも、燃費重視のオートマでは、その回転数に至るチャンスはほぼない。

マニュアルモードにすればできるが、燃費重視の運転に慣れたドライバーは、なかなか回さない。

回すと、もの凄いパワーとスピードが出るので、危ないな、とも思うはずだ。

でも、排気量を小さくすると、「パワーがない」と誰かが不満を述べる。

バイクの場合、250ccでも650ccでも、公道で気持ちの良い回転数で走ることができる。

リッターバイク以上になるとそうではなくなるけれども、ちょうどいい排気量があるのだ。

車では車重によるものの、900から1500ccくらいが公道で回せるエンジンを作れるはず。

フィアットパンダ、スイフト、1300ccのデミオ、ロードスター、または軽自動車。

ライトウェイトの車で、ぶんぶん回せる小排気量内燃エンジン。ユーザーもメーカーもそこに集中して、内燃エンジンならではの楽しみを究めてほしい。

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