中国で新しい「GSX250R-F」が登場しました。
今までのGSX250Rの面影を残しながら、フロントまわりはかなりシャープになり、ライトもLED化。カラーTFTメーターやスマートフォン連携、タイヤ空気圧モニター、USB Type-Cなど、装備も一気に今っぽくなっています。ウイングレットの採用もさすがです。

そしてエンジンも変わりました。
248ccの水冷並列2気筒という基本構成はこれまでと同じですが、新型は8バルブ化され、VVL(可変バルブリフト機構)まで採用。最高出力は21.5kW、約29PSまで引き上げられています。
豪爵鈴木の中国公式サイトでは、すでに「GSX250R-F」として正式に掲載されており、価格は1万8980元(約43万円)です。

■ 日本のGSX250Rは中国から輸入されている
現在、日本のスズキで販売されているGSX250R。
スズキの公式サイトをよく見ると、
「製造事業者:常州豪爵鈴木摩托車有限公司」
「製造国:中国」
「輸入事業者:スズキ株式会社」
と書かれています。
つまり中国で生産したGSX250Rを、スズキが日本へ輸入して販売しています。
時計を2011年まで戻してみます。
この年、スズキは中国の重慶モーターサイクルショーで「GW250」を発表しました。
当時の中国の二輪市場は非常に大きかったものの、その中心は移動や仕事に使う実用車。ところが経済発展にともなって、バイクを単なる移動手段ではなく、趣味として楽しむ人が増え始めていました。

そこでスズキが投入したのがこの250ccのGW250です。中国市場を意識してGW250を開発し、中国で発売。そして、そのバイクが日本にもやってきたのです。
■ ただし「中国で設計したバイク」ではない
ここは少し丁寧に説明しておきたいところです。
GW250は中国市場をターゲットとしていましたが、中国側だけで設計したバイクではありません。
スズキによれば、エンジン、車体ともに日本で新規に設計・開発。それをスズキと中国・大長江集団の合弁会社である常州豪爵鈴木摩托車有限公司で生産する、という形でした。
さらに最初から中国国内だけではなく、ヨーロッパ、インドネシア、中南米などへの輸出も計画されていました。
つまり、
中国市場の新しい需要に向けて企画
↓
スズキが日本で設計・開発
↓
中国で生産
↓
中国で販売
↓
世界へ展開
という流れです。
そして日本も、その「世界」のひとつでした。
GW250は2012年1月、中国で販売を開始し、その約半年後。2012年7月、日本で「GSR250」が発売されました。
名前は変わりましたが、そのルーツは中国で先に発売されたGW250です。
248cc、水冷並列2気筒。最高出力を競うようなスポーツバイクではなく、低中速での扱いやすさを重視したロングストロークエンジン。街中でも乗りやすく、ツーリングにも使いやすい。この性格は、その後のGSX250Rにもかなり色濃く残っています。
GSR250シリーズはその後、バリエーションを増やします。
2014年1月にはハーフカウルを装備した「GSR250S」。そして同年9月には、フルカウルを装着した「GSR250F」が日本で発売されました。このGSR250Fを見ると、現在のGSX250Rにつながっていく感じが少し見えてきます。
中身は扱いやすい250cc並列2気筒。そこにフルカウルを装備して、スポーティーなスタイルとツーリング性能を組み合わせる。

速さだけを追いかける250ccスポーツとは、少し違う方向です。
そして2016年、シリーズは大きく姿を変えます。名前も「GSX250R」になりました。GSX-Rシリーズを思わせるフルカウルをまとい、ずいぶんスポーティーな姿に。
GSX250Rは2016年12月、まず中国で販売を開始。日本での発売は翌2017年4月17日でした。
ちなみにGSX250Rでは、GSR250Fから車両全体を見直して11kg軽量化していますが、248cc水冷2気筒という基本的なキャラクターは受け継がれました。

さて、最新のGSX250R-Fのエンジンは、水冷並列2気筒248cc。
ボア×ストロークも53.5×55.2mmで、従来型と同じです。しかし、新型は8バルブVVLを採用。
ここがやはり注目ポイントで、低回転のベーシックな強さに加えて、バルブによって高回転の伸びも獲得するという嬉しい新機構。スポーツ性もアップしています。

最高出力は21.5kW/9500rpm、約29.2PS。最大トルクは23.6Nm/5500rpmで、日本仕様の現行GSX250Rは最高出力18kW(24PS)/8000rpm、最大トルク22Nm/6500rpm。
つまり新型は高回転側のパワーを増やした一方、最大トルクの発生回転数はむしろ低くなっています。
これはなかなか面白いところ。
GSX250Rは昔から、最高出力の数字を競うバイクではありませんでした。
低中速が扱いやすく、普通に走って気持ちいい。だから、そのキャラクターを残しながら上まで回したときの力を足すためにVVLを使ったのだとしたら、かなり理にかなっています。
ウイングレットの採用もこのクラスとしては嬉しいはず。スマホ連携のカラーモニタもさすがです。
このクラスとしては珍しく、空気圧モニタリングシステムもあり、走行中でもタイヤの状況を把握できます。カラーはスターライトブラック、グレイシャーホワイト。スズキの気合いが見えてきます。


