Official Movie

ハーレー「RMCR」は市販化される? レボリューションマックスはスポーティがいいと言ったでしょ

写真は情報を元にしたkuluma.jpオリジナル予想図です

ハーレーダビッドソンのナイトスターのスムーズに回転を上げていくエンジンに触れたときから、「もっとスポーティに振ったモデルで乗りたい!」と感じていました。

その答えのような1台がついに公開されました。世界中のハーレーファンから注目されている「RMCRカフェレーサーコンセプト」です。レボリューションマックスの発表当初にも、よく似た方向性のカフェレーサーやフラットトラッカーが計画されていました。それがもしや市販されるのでしょうか?

映画『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』では、ジェイソン・モモアがレボリューションマックス1250を積む大胆なカスタム車に乗っています。RMCRは、これまで断片的に見えていた「スポーツハーレー」の可能性を、ようやくひとつの完成形にまとめたモデルなのかもしれません。

写真は情報を元にしたkuluma.jpオリジナル予想図です

1977年のXLCRを現代に戻した「RMCR」

RMCRは、ハーレーダビッドソン本社のデザインチームが製作した公式コンセプトです。2026年2月下旬、ハーレーの本拠地である米国ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された「Mama Tried Motorcycle Show」で初公開されました。

車名の「RM」はRevolution Max、「CR」はCafe Racerを意味すると考えられます。モチーフになったのは、ウィリーG・ダビッドソンが手がけ、1977年に登場したXLCRです。黒一色の車体に小さなビキニカウル、細身のタンク、後方へ跳ね上がるようなシートカウルを組み合わせたXLCRは、当時のハーレーとしては異色のカフェレーサーでした。

RMCRも、丸型ヘッドライトを包むコンパクトなカウルや短いテール、ブラックを基調としたシルエットによってXLCRの雰囲気を受け継いでいます。ただし、単なる復刻ではありません。外装の大部分にはカーボンファイバーが使われ、クラシックな輪郭の中に現代の高性能パーツを詰め込んでいます。

写真は情報を元にしたkuluma.jpオリジナル予想図です

中身は本気の150HP級スポーツモデル

ベースになったのは、オンロード性能を高めたパンアメリカ1250 STのプラットフォームです。エンジンは水冷60度Vツインのレボリューションマックス1250。パンアメリカ系では最高出力150HPを発生するユニットで、エンジン自体を車体構造の一部として使う「ストレスメンバー」設計を採用しています。

つまり、昔ながらのクレードルフレームに大きなエンジンを載せるのではなく、エンジンを中心にフロントフレーム、サブフレームなどを組み立てる構成です。部品点数と重量を抑えやすく、車体剛性も確保しやすいため、レボリューションマックスはもともとスポーツモデルへ展開しやすい設計なのです。

RMCRでは、前後17インチホイールにミシュラン・パワーGP2を装着。前後サスペンションにはオーリンズ、ブレーキにはブレンボを採用し、ステアリングダンパー、低いクリップオンハンドル、バックステップも備えています。スイングアームも短く軽量な専用品となり、アクラポビッチ製の2-into-2エキゾーストや2眼の丸型TFTメーターまで装着されています。

車重は公表されていませんが、短い車体とカーボン外装を見る限り、装備重量228kgのスポーツスターSより軽くなる可能性があります。豪華なショーモデルというだけでなく、コーナーをきちんと走るために作られた構成です。

写真は情報を元にしたkuluma.jpオリジナル予想図です

ナイトスターに乗ると、このエンジンの別の顔が見えてくる

ナイトスターに搭載されるレボリューションマックス975Tは、初期型で最高出力90HP/7500rpm、最大トルク95Nm/5000rpmを発生します。低いシートや細身の車体によってクルーザーらしく見えますが、実際のエンジンは回転の上昇が軽く、低回転だけを使って鼓動を楽しむタイプではありません。

筆者がナイトスターに乗っていたときも、印象に残ったのは「低回転トルクは薄い。回さないと動かない。回せば強烈」という感覚でした。もちろん、ナイトスターの低い車体と扱いやすさには独自の魅力があります。ただ、レボリューションマックスの本領をさらに引き出すなら、十分なバンク角、前後17インチホイール、強力なブレーキ、前寄りのライディングポジションを持つ車体が欲しくなります。

RMCRは、まさにその発想を1250ccで徹底したモデルです。従来のハーレーを無理にスポーツ化したのではなく、最初から高回転域まで使うために生まれたエンジンへ、ようやく似合う車体を与えたように見えます。

実は2019年にも「レボリューションマックス・カフェ」が存在した

この流れは、レボリューションマックスが登場したころまでさかのぼります。ハーレーダビッドソンは2018年、「More Roads to Harley-Davidson」という成長計画を発表しました。500ccから1250ccまで展開できる水冷Vツインのモジュラープラットフォームを用い、アドベンチャー、ストリートファイター、ハイパフォーマンスカスタムなど、新しいカテゴリーへ進出する大規模な構想でした。

その中心にいたのが、1250ccのパンアメリカと975ccのストリートファイター「ブロンクス」です。2019年のEICMAでは、1250が145HP超、975が115HP超という当時の目標値も公表されていました。

しかし計画はそれだけではありません。2019年の投資家向け資料には、レボリューションマックスを積むカフェレーサーとフラットトラッカーの試作車も登場しています。2020年には両車のデザイン特許も確認されました。

当時のカフェレーサーは、エアクリーナーカバーの表記から975cc仕様とみられ、丸型ライトと小型カウル、低いハンドル、倒立フォーク、ブレンボ製ラジアルマウントブレーキを採用していました。リアはツインショックで、今回のRMCRよりもクラシックで比較的シンプルな姿です。一方のフラットトラッカーは、高い位置に重ねたマフラーやゼッケンプレート風のフロントマスクを備えていました。さらに、かつてのレーサー「VR1000」を思わせるフルカウルのスポーツモデル案まで検討されていたと報じられています。

ところが2020年、経営方針の変更やラインナップ整理の中でブロンクスは発売計画から消え、カフェレーサーとフラットトラッカーも表舞台から姿を消しました。最終的に市販へ進んだのはパンアメリカで、その後にスポーツスターS、ナイトスターが続きます。

今回のRMCRは、かつての975ccカフェレーサーをそのまま復活させたものではありません。1250cc・150HP級のエンジン、パンアメリカ1250 ST由来の車体、カーボン外装、オーリンズといった装備を見ると、過去の案をさらに高性能な方向へ作り直した「第2案」と考えるほうが自然です。

『ワイルド・スピード』でジェイソン・モモアが乗った、もうひとつのスポーツハーレー

レボリューションマックス1250をクルーザーやアドベンチャー以外の姿に変えた例は、RMCRが初めてではありません。2023年公開の映画『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(原題:Fast X)では、悪役ダンテを演じたジェイソン・モモアが、パンアメリカ1250をベースにしたカスタムバイクに乗っています。

映画用の車両は黒を基調とし、パンアメリカの大きなヘッドライトやカウルを取り外しています。フロントにはフラットトラックレーサーのゼッケンプレートを思わせる穴あきパネルを装着し、シートやメーター周辺も変更。赤みの強い2本のストレートパイプが、むき出しになったレボリューションマックス1250をさらに際立たせていました。

モモアは実生活でも熱心なハーレーファンです。本人のインタビューによると、映画への出演が決まった際にハーレーダビッドソンのCEOへ直接連絡し、作品用に約6台の車両が用意され、自分の役柄に合わせて作り込むことを認めてもらったそうです。

完成した車両は、市販のパンアメリカとはほとんど別物に見えます。アドベンチャーバイクの外装を外すだけで、エンジンを中心とした獰猛なネイキッド/フラットトラッカーへ変わる。その姿は、レボリューションマックスというプラットフォームの自由度を、映画のスクリーン上で証明していました。

RMCRは市販されるのか

RMCRはあくまでコンセプトであり、2026年8月時点で市販化は正式発表されていません。ただし、期待できる新しい動きがあります。

ハーレーダビッドソンは2026年7月29日、米国特許商標庁へ「RMCR」と「RMXR」の商標を出願したと報じられています。用途はモーターサイクルおよびその構成部品で、いずれも将来の使用意思に基づく出願です。

RMCRは今回のカフェレーサー、RMXRはレボリューションマックスとハーレー伝統の「XR」を組み合わせたフラットトラック系モデルを連想させます。2019年にカフェレーサーとフラットトラッカーが同時に検討されていたことを考えると、偶然とは思いにくい組み合わせです。

さらにハーレーダビッドソンは2026年6月、北米市場向けレボリューションマックスの生産を米国へ戻す方針も発表しました。これだけでRMCRの量産を示すわけではありませんが、「アメリカで作る新世代の高性能Vツイン」という物語は、以前より組み立てやすくなっています。

もちろん、商標出願だけで発売が決まったとはいえません。実際にブロンクスは、車名も実車も発表されながら市販されませんでした。RMCRを量産する場合も、カーボン外装やオーリンズ、アクラポビッチをそのまま採用すれば価格はかなり高くなります。騒音・排出ガス規制に対応するため、マフラーを含めた仕様変更も必要になるでしょう。

それでも、すでに量産されているパンアメリカ1250 STのプラットフォームを活用できることは大きな強みです。市販版では外装素材や足まわりを現実的な仕様に変更し、上級グレードだけにカーボンやオーリンズを与える方法も考えられます。

レボリューションマックスには、やはりスポーティなハーレーが似合う

RMCRを見て感じるのは、ハーレーダビッドソンが無理に他社のスポーツバイクをまねたのではなく、自社の中にすでにあった可能性を掘り起こしたということです。

1977年のXLCR、2019年のカフェレーサーとフラットトラッカー構想、発売されなかったブロンクス、映画『ワイルド・スピード』のパンアメリカ・カスタム。そして、ナイトスターやスポーツスターSで市販されたレボリューションマックス。これらの点をつなぐと、RMCRは突然現れたショーモデルではなく、何度も形を変えながら温められてきた「スポーツハーレー」の続きに見えてきます。

ナイトスターに乗っていたころに感じた、「このエンジンなら、もっとスポーティな車体が似合う」という印象は、やはり間違っていなかったのかもしれません。RMCRが市販されれば、クルーザーでもアドベンチャーでもない、現代のハーレーにとって新しい柱になる可能性があります。

コンセプトだけで終わるのか。それとも、約50年ぶりの純正カフェレーサーとして公道へ出てくるのか。今はまだ断言できませんが、少なくともレボリューションマックスには、その舞台へ進むだけの性能と物語がそろっています。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください