MINIは2026年7月9日、3ドアのMINI Cooperをベースにした特別仕様車「MINI Cooper Oxford Edition」を発表しました。
白いルーフいっぱいに描かれたユニオンジャックだけでもかなり目立ちますが、今回のデザインはそれだけではありません。旗の中央を通る赤と白のラインがボンネットからルーフ、リアまでつながり、クルマ全体でひとつのグラフィックを作っています。
最近のMINIはシンプルでモダンな方向へ進んでいましたが、Oxford Editionはそのきれいなボディ面を大きなキャンバスとして使った一台です。少し派手ではありますが、これほど英国らしさを正面から打ち出したMINIも久しぶりではないでしょうか。

なぜ今、「Oxford Edition」なのか
Oxford Editionという名前は、MINIの故郷である英国オックスフォードに由来します。クラシックMiniがオックスフォードで生産され始めたのは1959年。そしてBMWグループによる現代のMINIは、2001年に同じオックスフォード工場から送り出されました。
つまり2026年は、現代のMINIが誕生してからちょうど25周年にあたります。今回のOxford Editionは、単に英国風の装飾を加えたモデルではなく、オックスフォード工場と現代MINIの25年間を祝う記念車なのです。
この背景を知ると、大きなユニオンジャックも単なるファッションではなく、工場そのものを象徴するデザインに見えてきます。英国では購入者にオックスフォード工場見学のペアチケットも用意されており、MINIがこのモデルを「ブランドの故郷へ帰るための一台」として扱っていることが分かります。

ルーフだけでは終わらない、かなり作り込まれたデザイン
もっとも印象的なのは、白いコントラストルーフに描かれた現代的なユニオンジャックです。その中央の赤と白のストライプがボンネットからルーフ、リアへと連続し、上から見ると一台のクルマ全体が英国旗の一部になったように見えます。
ボディカラーは発表資料ではチリ・レッド、インディゴ・サンセット・ブルー、ブレイジング・ブルーの3色。ただし販売国によって設定が異なり、チリ・レッドとインディゴ・サンセット・ブルーの2色に絞られる地域もあります。特に濃いインディゴ・サンセット・ブルーは、白いルーフと赤いラインがもっともきれいに浮かび上がり、今回のデザインを象徴する色に見えます。
ドアミラーカバーもホワイトで統一され、足元には18インチの「Slide Spoke 2-tone」ホイールを装着。ホイールのセンターキャップやバルブキャップまで専用デザインになっています。派手なルーフだけを目立たせるのではなく、小さな部分まで同じテーマで仕上げているのがMINIらしいところです。
インテリアにも英国モチーフが続きます。ステアリングの6時位置にはテクスチャーを持たせたユニオンジャックのプリントが入り、運転席側のフロアマットには円形のユニオンジャック、助手席側にはMINIのモータースポーツ史を表すチェッカーフラッグが配置されます。ドアシルには現代MINIの25周年を示す専用デザインも入り、乗り降りするたびに記念車であることを感じられます。
さらに、円形OLEDディスプレイには専用のユニオンジャック画像を表示できます。MINIアプリから画像を取り込み、Experience ModesのPersonal Modeで使う仕組みです。外装だけでなく、車内のデジタル表示まで一つの世界観にまとめた点は、昔の限定車にはなかった新しい楽しみ方でしょう。

中身は現行Cooper CとCooper S。見た目だけのクルマではない
Oxford Editionは3ドアのガソリンモデルに設定され、Cooper CとCooper Sの2種類が用意されます。
Cooper Cは1.5リッター直列3気筒ターボを搭載し、最高出力156ps、最大トルク230Nmを発生。0-100km/h加速は7.7秒です。街中で扱いやすく、それでいてMINIらしい軽快さを十分に楽しめる仕様です。
より力強いCooper Sは、2.0リッター直列4気筒ターボを搭載。最高出力204ps、最大トルク300Nmで、0-100km/hを6.6秒で加速します。Oxford Editionの強い存在感には、こちらのほうが似合うと感じる人も多いかもしれません。
特別なエンジンチューニングや足まわりの変更が発表されているわけではなく、基本的な走行性能は通常のCooper C/Cooper Sと共通です。言い換えれば、今回は速さを競う限定車ではなく、MINIの歴史とデザインを楽しむためのモデルです。JCWのような性能重視の仕様とは、はっきり役割が分けられています。
英国だけではなく各国で展開。日本導入はまだ未定
Oxford Editionは英国だけの限定車と思われがちですが、実際にはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、スイス、スウェーデン、オーストラリアなどでも導入が案内されています。英国をはじめとする多くの欧州市場では、2026年9月からの販売が予定されています。
北米では少し事情が異なり、同じユニオンジャック仕様が「MINI Cooper Heritage Edition」という名称で販売されます。カナダ仕様は45台限定です。一方、アメリカには以前から価格を抑えた別の「Oxford Edition」が存在しており、こちらは今回の25周年記念モデルとはまったく別の商品です。同じ名前のモデルが二つあるため、海外情報を見る際には注意が必要です。
日本では2026年8月10日現在、MINI Japanから正式な導入発表はなく、公式価格表にもOxford Editionは掲載されていません。ただし、ベースとなるCooper CとCooper Sはすでに日本で販売されているため、車両そのものが導入できないわけではありません。今後、日本向けの限定台数で販売される可能性は残されています。
また国内では、MINI港南台がOxford Editionにインスパイアされたオリジナル車両を制作し、2026年8月のフェアで展示しました。同様の施工相談も受け付けるとしており、正式導入前からこのデザインに注目する動きが出ています。
現行MINIのすっきりしたデザインに対して、「少しおとなしくなった」と感じていた人もいるかもしれません。Oxford Editionは、そのシンプルなボディを使いながら、MINI本来の遊び心を一気に取り戻したようなモデルです。
控えめとは言えませんが、MINIだからこそ成立するデザインでもあります。日本に導入されたら、かなり目立つ一台になることは間違いなさそうです。


