ハーレーやロイヤルエンフィールドで採用されているロングストロークは日本車にはあまり採用されない珍しい方式。ですが、GB350には採用されました。
しかも、GB350は重いフライホイールも採用し、低い回転数でトルクをしっかり出すバイクに仕上がっています。
そして鼓動感も評判の通り。
高回転を望まず、常用域である低回転のトルクを楽しみ、のんびり走るのがロングストロークと重いフライホイールの組み合わせ。
そして空冷の乾いた音で、パタパタと音が鳴り出したら、もうハーレーのナックルヘッド、古いロイヤルエンフィールドのバレット500、ヤマハのSR500、カワサキのW800の世界です。
そこでの決まり事が、「スロットルを忙しくしない」ことです。
フライホイールの軽い日本車に慣れていると、さっとスロットルを上げたくなります。
ぶぃんぶぃんと回して、高回転を楽しんだりします。が、ロング&ヘヴィ(勝手に名付けました)では禁物です。
特に古いナックルは、重いフライを持ち上げるのを確認するようにスロットルを扱います。
GB350も同じように、ゆっくり開けて乗るべきです。
しかも、クルーザー向けのハイギアードなので、1速、2速で公道をしっかり走れます。
5速はもう、高速巡航用です。
たとえば、30kmまで、1速で走っていいのです。(そもそも、低回転でトルクがあるので、クラッチ操作だけで発進できるのでは? 試してません_)
半クラだけで発進して、動き出してからアクセルをやさしく開けて、3000回転くらいまで、ゆったりと1速で流しても大丈夫。とはいっても、30km/hはすぐに到達します。
そこでやっと2速にします。
そこでもまた、2000~3000回転を目安に、幅広く走れるはずです。3速もいいですが、少し音が小さくなります。
4速はもう、高速での加速用です。
3000回転はGBの美味しいトルク値。ここで最大トルクの29N・mを発生するので、2000~3000回転くらいで公道を走っていると、ずっと力を感じることができます。普通というか、一般的なバイクだともっと高い位置でトルクピークが来るので、公道では回転数が高すぎて使えなかったりします。
ただし、このハンターとGB。はやめにシフトアップして、公道でも5速あたりでスロットルを開けて楽しむ人が多いみたいです。すると、パタパタ音になって、それが気持ちいいそうです。
あくまで、私は試乗したのみなので、機械的構造から予想しているだけです。
理論だけで推測すると、重いフライを回し始める最初は、一気にスロットルを開かず、静かに開いたほうがいいはずです。そして、回り始めたら、もうスロットルをあまりいじらなくても安定して回り始めるのがこのエンジン。
フライホイールの慣性力が効いてくるのです。
重いフライのバイクではシフトアップが少し楽なはずです。
回転数がすぐに落ちないので、シフトアップ時に必要以上に回転数を上げる必要はありません。美味しいあたりでスロットルを戻してギアチェンすればいいだけです。ただ、この按配をどれくらいに設定しているのかはそれぞれのエンジンによるので、たとえば少し回転数が動きやすくしたりしてるかもしれません。
ただ、比較的回転数の落ちはゆっくりだという前提で考えると、フットペダルとクラッチとスロットルを同時に動かすやり方も、GB350の場合はゆったりでいいのです。
ですが、GB350はアシストスリッパークラッチなので、やはりシフトアップもダウンもどうにかなります。
このように、何かとゆっくりとした動作でいいのがロング&ヘヴィのエンジンです。
加速には向いてません。
でも、加速を捨てて、トルクを楽しむエンジンなのです。
高回転型の日本車に乗り慣れてて、「加速しない!」というレビューは的外れということです。
しかも、GB350のようなハイギアードは、5速は巡航用。
6速のバイクや、高回転で馬力が出るバイクと違うので、5速で回しても加速しないはずです。
たとえば高速で100kmで5速で走っているとします。
高回転型で大型バイクであれば、そこで絞ればまた加速していきます。
ですが、5速が巡航用に設定されている低回転型のバイクは、そこから加速するはずがありません。
4速で加速するのです。
理論的には140kmまで出るようです。
ここらへんの特有の仕組みを理解して、楽しむとGB350は個性的です。
最初からずっとトルクを感じて、押されるような力をしっかりと楽しみながら乗れます。
特にカーブでこの回転域を使うと楽しい(らしい)です。
GB350の場合、このロング&ヘヴィの構造に加えて、随所にバランサーやダンパーを入れて、完全オリジナルになっています。
偶力振動を消すバランサーをつけて、クラッチ板には単気筒特有のトルク変動を受け止めるダンパーをつけるなんて、芸が細かすぎる。これぞ日本車です。
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