1000kgより少し重いくらいのロードスターの燃費が16km/Lくらいで、220kgくらいのハーレー・ナイトスターが14km/L。
重さは4分の1くらいなのに、なぜ? ロードスターはおよそ1500cc、ナイトスターはおよそ970cc。なぜ?
エコなはずのバイクが、もしかしてバランスを崩しているのではないかという思いが膨らんで、ついGB350Sを注文してしまいました。
燃費でバイクを選ぶな。という人は大勢いますが、私はダメみたいです。
ちょっと乗っただけでガソリン警告灯がつくのは、やっぱりストレスでした。
最初のバイク、MTX50Rはほんとに燃費が良かったのに、いつのまにかバイクが大きくなり、燃費の良くないバイクに乗っていた。
前のCB650Rだって、楽しかったけれど、20km/L。今じゃトヨタのSUVにも負けてる。
そこで、バイクはどの大きさ、排気量が最適解なのか。考えてみました。
今、燃費計測法のWMTCはかなり正確で、普通に街乗りを多めにしていても同じような燃費が出たりします。
まず、そのWMTCを公表しているバイクから、いい数値を探してみると、ホンダのモンキー125の70.0という数値(2023年車重104kg)がかなり高く、ほぼ同じでスーパーカブ50、クロスカブ50が続きます。
CT125・ハンターカブは67.2。
カブの燃費性能がいいのはみなさんご存知の通りですが、50ccスクーターはホンダ・ダンクで58.4と、少し落ちます。おそらく高速走行が苦手なためでしょう。それでも驚異的エコ性能です。
というわけで、125ccがバイクの最適解かと考えると、たしかに125ccならスポーツ系に振ったとしてもすごい。CB125RでWMTC46.8。KTM125デュークで41.3という数値を叩き出していて、スズキに至ってはGSX-R125が45.1。元気に楽しく走っても全然エコです。
これだけの燃費性能が出れば、「さすがバイク。いい環境性能だ」となるはずです。
このように、国内勢でも海外勢でも必ずいい数値がでる125ccですが、少しずつ上の排気量を見てみましょう。
まず、ジクサー150は排気量が上がったにもかかわらず51.0です。150もかなりいいバランスということです。
250ccもスズキはいいです。
ジクサー250は37.7。150から一気に数値を落としましたが、ものすごい数値です。
レブル250は34と優秀ですが、経験上、27くらいの実燃費でした。ヤマハのMT-25は27.2。
ベネリのレオンチーノ250はWMTC30.3。
一般的にはここまで十分、「燃費がいい」という認識です。ただ、抜群にいいかというと、250ccから少し落ちてきている気がします。150と125の凄さにはかなりません。
悪いほうでみると、250cc現行型唯一の4気筒カワサキZX-25Rは18.9です。
250ccは燃費がいいけれど、ベストバランスでみると150ccから下降傾向にあります。
エンジンフィーリングで優っているかというと、150と250ccの差は微妙です。
250ccから400ccになると、明らかにエンジンフィーリングが変わります。
125ccから比べても、パワーによる走行の気持ちよさや、スロットルから伝わる力強さと気持ちよさが出てきます。
バイクの楽しさという意味では、400ccはスタート地点でもあります。
しかし、当然ながら燃費性能は落ちていきます。
ホンダCBR400Rが27.9。設計が古めのCB400スーパーボルドールはWMTC21.2。
400より上になってくると、もうバランスを崩し始めているのが明らかです。
燃費がいいといわれているSV650も、WMTC24.4。
ホンダのNC750XはWMTC28.6で、このクラスの王者として他を圧倒していますが、エンジンの気持ちよさはだいぶスポイルされているかもしれません。
他はヤマハのXSR700(MT-07)が24.6で、そのあとをKTMのモタードが続きますが、CB650Rは21.3。
ここらへんはたしかにパワーは400ccよりあって、大型ですし、楽しいのですが、20付近というのはどうでしょう。
リッターになるとXSR900やZ900あたりがWMTCで20km前後を出して優秀と言われていますが、190kgというクルマに比べれば軽い重量なのに20kmだと、やはり重たいトヨタのハイブリッドに負けています。
水冷ハーレーはスポーツスターSが19.6という参考値を出してますが、それより少し排気量が小さい私のナイトスターの実燃費が13から17です。レブル1100が18.7で、タンク容量13L、航続距離243km(スポーツスターSは231.3)というのは、250からステップアップした人にとってはかなり残念な数値ではないでしょうか。
ナイトスターは残り50kmくらいで警告灯がつくので、だいたい100kmくらいでガソスタに寄る感じです。
クルマで100kmごとのガソリン補給となると、クレームものです。
そして、リッター超えのスポーツは、15km/Lという数値へと向かっていきます。そこはもう、SSの楽しみに振っているので、ふれないでおきます。
そんななか、2021年に登場した350ccというジャンルは、革命的です。
ある程度の排気量ながら、GB350はなんとWMTC41.0。スヴァルトピレン401が27.8(タンクがわずか9.5 小さい!)といういい成績を残しているものの、それを大きく引き離す数値。ライバルのロイヤルエンフィールド、メテオ350は参考値で35.8と、こちらも驚異的。ジクサー250が37.7ですから、GB350の数値の凄さがわかります。
このように、バイク界全体の数値を比べると、GB350は内燃機関と重量、そして燃費を考えたエンジン作り(パワーを犠牲にしている)によって、革命的で理想的な燃費を実現していると言えます。まさに最適解です。
しかも、タンク容量が15Lと大きいため航続距離は615km。公表しているところではR1250GSが2023年モデルで630km(WTMC21.0)とすごいですが、タンク容量は倍の30L。
125ccクラスはタンク容量が小さいため、航続距離は350km前後。GB350と同じようなクラスではやっとジクサー150が612kmという感じで、他はだいたいが400kmから250km。圧勝です。
クルマで考えると、燃費41km/Lってやばいな・・・となりますよね。
どんなに必死に頑張っても追いつけない。そりゃそうです。まずバイクは軽いのだから。
でもそれって125ccの話でしょ、カブとかの話でしょ、バイクはもっとパワーがあって楽しいほうがいいからねと、思っていたのが400ccより少し小さいクラスで実現しました。
でも、バイク業界のマーケティングの影響もあり、GB350からはじめた人は、ステップアップしていく人も多いでしょう。するといつのまにかバイクが大きくなって、走っているとエンジンの排気が暑くて、重たくてでかけるのがちょっと面倒になって、走ったらすぐガソリンの警告灯が・・・。あ、俺のことか。
街乗りばかりの場合、GB350の実燃費は当然37あたりに落ちるでしょう。
それでもすごい。バイクって、すごい。ってなりますよね。
これからも、メーカーの努力次第で350から500あたりの内燃性能を上げることは可能だと思います。
噂されるGB500も、500なのにWMTC35とか、あるかもしれません。