来年のボルボフラッグシップ「ボルボ・コンセプト・リチャージ」公開用動画『Future of design』。
ちょっとボルボはこういうことを細かく出してくるので、ファン以外はもうよくわからなくなっている。
一時期、電動化はボルボ・ポールスターのほうでやると言っていたけれども、今回のコンセプトは次の電動SUV『ポールスター3』に採用されるものらしい。
今回発表された「コンセプト・リチャージ」は、電気自動車の新しいマニフェスト。
動画ではまず、クルマの作り方の説明で、プラモデルのような模型を使って、既存のフォルムから内燃エンジン部分が取り払われた。
替わりに、大きなバッテリーパックを設置するために、ホイールベースを長く。
フラットフロアはドライブシャフトなどがあるクルマに比べて、より広いスペースを提供できる。それは「北欧家具のように」なるらしい。
椅子を下げられる分、ルーフも低くする。エアロダイナミクスへの貢献もできて航続距離も長く。Aピラーは前方に、フードは短くして、少し低くもできる。
どうしてこんな説明をしているのかというと、第一世代の電気自動車は内燃機関と共用だったため。今回は完全EV用に開発されている。
ボルボのダイアゴナル(斜め線)は忘れない。
現行内燃型モデルにあるグリルは確かに内燃機関だけに必要なもの。でもデザインに大きく貢献していた。かっこいいか、かっこよくないか。
それだけのことだけども、悪くなかった。
それがないのは、少し寂しい。
インテリアはキープコンセプトで、スカンジナビアンデザインを基にしている。見た目はクリーンで、調和している。
美しい北欧素材も使う。
そのため、「インテリアはそれだけで部屋の中の美しい家具のよう」。
さて、結局は今もこれからもボルボはライト部分のトールハンマーがアイコンになっている。
新しいトールハンマーはこれだ。
「最新のスリムでピュアなグラフィックに」していて、同様にアイコンになっているリアライトもいつものヴァーチカルに。
ハンマーはこのように、中が開いて別のライトが出てくる…。デイライトとナイトライトで変化する。
ナイトライトは当然ながら高解像度で細かく形を変えるインテリジェントライトだ。
リアはよりソリッドに、全体のフォルムと同化するようなイメージ。こちらも空力を考慮している。
また、前方ルーフには衝突ゼロを目指すボルボのデータが積み込まれたメインセンサーユニットを搭載している。
というわけで、電動化にひた走るボルボ。
テスラの位置に向かいたいのはわかるけれども、内燃機関をなくすということは、個性はバッテリーで生めなくなる。するとモーターを使った走りの味付けと、ソフトウェア、デザインになる。
フォードから離れても、長い間同じシャシーでありながら、美しいデザインの個性を磨き上げてきたボルボ。
デザインを一新し、新型XC90やV60からの素晴らしいデザインにオーナー以外にも多くのファンを生んだはずだが、そのファンの心と今回のコンセプトの魅力はまったく違うはずだ。
日本では今XC40が人気だが、その前のV40も良かった。
V60だってむちゃくちゃかっこいい。
時代に合った、現代的なテイストがふんだんに盛り込まれたクルマだと思う。
そんなファン心理をおいてけぼりにするボルボの電動化戦略。今のままのデザインでやってくれればいいのかと言われると、そうかもしれない。
4年後の2025年までには、世界の販売台数の50%をEVにするなんて、本当なんだろうか。「内燃機関に未来はない」と言い切ったが、移行期間は慎重に行うべき。
トヨタやホンダ、日産が行う内燃機関とEVのハイブリッドを移行期間にしっかり設定するやり型は、欧米型の無理矢理なEV化に比べて好感が持てる。
ボルボは9年後の2030年までには、販売するすべてのクルマをEVにするらしいけれども、マンションの人はもちろん、一戸建ての人も家でチャージできなければあまり買う気はしないと思う。お金持ち専用というなら、もうサヨナラだ。