バイクのカスタムはデザインにおいてクールさを究めているが、今の車にはその勢いがない。
どうしてなのかと考えても仕方がないのかもしれないが、旧車には残っている。
人には事情というものがあるから、誰もが旧車を乗れるわけではない。
安全面、燃費、運動性能で新車を求めるのが大半で、そのなかでクールを満たしたいのだが、できない。
たとえば、バイク会社はバイク人口減のなかで模索を続け、カスタムの人気に着目。BMWはカスタムを前提としたバイク、R-nine Tを出した。 http://r9t.jp
ホンダはアメリカで流行しているボバースタイルを意識し、さらにジェネレーションYというシンプルを好む80年代から90年代の若者世代をターゲットにしているという。
なので、デザインのコンセプトはシンプル&ロウで、ロウはRaw(生)の意味で、素材感を大事にマット、ブラックをキーカラーにしている。
バイクの世界でも当然、新車は昔と形を変えていて、今の車と同じ立ち位置にいるものも多い。
昔のバイクが好きだった人にはライトの形が納得いかなかったりするし、ソリッドすぎて受け入れられなかったりする。
でも、同時にこうして新車でも魅力的な商品が生産され続けているのも事実だ。
また、車のカスタムというのはまた独特の世界で、バイクのカスタムとはかなり世界観が違う。
コンセプトでは存在する。
これは、R-nine TをコンセプトにMINIをカスタムしたもの。
内装は茶色のレザー&アルカンターラシートで、タイヤはオフロード。スクランブラーの世界観を出しているし、これが新車販売されたら、車に興味なかった人も「車ってかっこいい」とはじめて思うかもしれない。
最初に紹介した2002は、間違いなく、「車ってかっこいい」。
唯一、車の中でバイクのカスタム的な雰囲気を持つのはアバルトかもしれない。
こちらはヤマハがアバルトをコンセプトに作ったXSR900 Abarth。
限定車ながら、カフェレーサーを意識した作りは完璧。ただ、基本は欧州での販売だったのが残念だ。
このコラボの流れは、バイクがクルマを認めた珍しい例であり、やはりクルマの世界にカフェレーサー、ボバースタイル、スクランブラーといった流行りのスタイルがないと言わざるを得ない。
アバルトのカラーリングは確かにバイクの世界と共通したものがあり、日本のメーカーもチャレンジする価値はある。
「クルマ離れ」ではさまざまな理由が語られるが、単にどうしても欲しくなるほどかっこいいものがないからなのかもしれない。