電気自動車にはグリルはいらないが、ペトロールとディーゼルにはグリルが必要だ。
かといって、そのデザインや質感は昔から重要視されていたとは言えない。
そこにこだわっていたのは一部のメーカーで、今も「一部」と言ってもいいのかもしれない。
ボルボはグリルのデザインにこだわっていたのかどうか、曖昧な立場だったが、XC90から突如トップクラスの質感になった。
新型XC40のスタイルはXC90や60に比べると予選敗退レベルだが、グリルはデザイン・質感ともに凝ったものになっている。
どう凝っているかではなくて、気を遣っているかどうかが問題で、遣ってくれているのであれば、いいか悪いかなんて関係ない。
どんな出来上がりだって、遣っていないグリルに比べれば愛着が湧くようになっているのだ。
グリルにこだわっているメーカーは、新型パナメリカーナグリルで準決勝は固いメルセデス。
昔からグリルで顔を作ってきたBMWは決勝戦の常連だ。
イタリアでグリルにこだわってきたのはアルファ・ロメオ。マイナーチェンジをグリルの質感変更によって行ってきたのだから、こだわりにはイタリア国民の総意。
マセラッティも個性とはいかないが、高級車らしく納得のいく質感でベスト16は固い。
BMWMINIもデザインに個性はないが、質感はよくベスト16。
形で個性を出しているのはアストンマーチン。
アウディはデザイン、質感、個性のすべてが揃っていて、BMWと激しい争いを繰り広げている。
アメリカ勢はJeepのベスト8以外すべて予選敗退。DSが健闘したフランス勢やブガッティ、レンジローバーも敗退した。
日本は、レクサスとマツダが生き残った。
レクサスは現在のスピンドルになってからは完全に「個性」を意識していて、勢いではBMWを上回る。
マツダはグリルで勝負しているようなところもあり、質感のこだわりはトップクラス。
ロウアーグリルのみのポルシェやフェラーリは大会を辞退した。
いつのまにか大会形式になっているが、日本勢のグリルのこだわりのなさは、それこそハンパない。
アジア大会でも敗退を続けていて、国民からは見放されている。
外国人デザイナーを起用する韓国勢にも遠く及ばない。
2017年の決勝はアルファロメオジュリアの健闘でアルファロメオとGLC63 AMGにパナメリカーナグリルを投入したメルセデス。
BMWは今年はまだ意欲的なグリル変更がなかったためベスト8。縦線グリルで挑んだボルボはメルセデスに準決勝で敗退したが、もう一つのベスト4アストンマーチンに勝利し3位。
決勝は量でも圧倒したメルセデスが勝利した。
今後も豊富な車種でバラエティに富んだグリルを放り込み、意欲的に改革を続けるメルセデスが勝ち続ける。
BMWは保守的な姿勢から今後挑戦的になり、さらに上位に食い込んでくるだろう。
アウディは今後、グリルの変更によって落ち着きをなくしていく。
ボルボはアウディを乗り越え、アストンマーチンはランボルギーニ・ウルスの影に怯え、新型SUV・DBXで巻き返しを狙う。
マセラティは安定力で来年もファンの心を話さないが、グリルで勝負しているクルマではないところが他と違う。
日本勢は質感を大事にしているインフィニティに期待がかかる。
トヨタはカムリ、ホンダは象徴的なシビックタイプRのグリルデザインを今後こだわって攻めるのかどうか。
グリルに愛着を感じるかどうかは、そこにこだわっているかどうかにある。
今後のキーとなるのはあくまで「質感」で、どんな素材を使っているのかだ。
そこに焦点を絞ると、この大会結果も随分変わってくる。
未来は質感。そこにかかっている。